人生の意味なんて、自分で見つけるもの。映画「コラテラル」

トム・クルーズがこれまで演じてきたヒーロー像から一転、白髪に無精ひげの殺し屋を演じ、新境地を開いたサスペンス。トレードマークの笑顔を押し殺しての演技は真に迫る。殺しを目撃してしまい、やむをえなくトム演じる殺し屋と行動をともにすることになったタクシー運転手を『アリ』のジェイミー・フォックスが演じる。『インサイダー』のマイケル・マン監督がロスの街を背景に音楽とシンクロさせながら描くスタイリッシュな映像にも注目。

情報源: 解説・あらすじ – コラテラル – 作品 – Yahoo!映画

正直、このレビュー書くまで、このタイトルをココテラルとか、ココラテルとか。正確に言えなかったのと、映画の内容もきっと「カクテル」っぽい映画なんじゃないか?くらいな気分で観劇。

いい意味でも裏切られつつ、フィルム・ノワール的なしっとりとした、夜の闇を写す映像美と洒落た音楽に、最後のエンドロールまでじんわりと魅せられた映画でした。

殺し屋役のトムクルーズがどこかヒールに見えなくて、でも冷徹で無慈悲な殺人者の中にあるちらほら見え隠れする人間性に対する期待感が最後まで良い緊張感に結びついて、これも良い配役だったと思います。

脳内の葛藤が可視化されたような展開

この映画はバディフィルムなので、人間味あふれるタクシー運転手(ジェイミーフォックス演じる)マックスと、非情な殺し屋(トムクルーズ演じる)ヴィンセントの友情劇でもあるのですが、この二人は何のメタファーだったんだろうって思います。

いつか高級リムジン会社の経営を夢見ている、一介のタクシー運転手。いつまでも夢は夢のままであることを悟りながら、うそぶきながらその夢を糧に日々のルーチンワークを誠実に生きる生き方。

60億分の一人がどこかで亡くなったとしても、それを気にかけて生きているか?人はいつか死ぬ。そこに意味なんてない。と言い切る殺し屋。

ものすごくミクロな人生観とマクロな人生観。

右脳と左脳のような二人。

善と悪、夢見がちな情緒とラジカルな理性。

感情は常に迷走しあがき、理性は一貫したロジックで突き進む。暴走する感情を抑えるように理性は働き、あまりに無機質な理性に感情は苛立ちのエネルギーをぶつける。そんな自問自答や葛藤がそのまま映画になってます。

最後に残るのはどちらなんだろう。と思いながら、最後は考えさせられる結末を迎えます。

夢見がちな感性とリアリストな理性。どちらが正しい?

人生とは何か?夢とは?仕事とは?

割り切れない自分自身を見ているように、この二人の行くすえを重ねて、余韻に浸ってみるのに良い映画です。

映画らしいというか、感じる映画でした。おすすめ。

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