つながりをデザインする人たち

最近ご縁いただいた「いえつく」プロジェクトのみなさんと、原宿THE SHAREでお酒のみつつ語り合う会というのを自主的に開いていて、第二回を先日行いました。いえつく

いえつくさんが紹介されていた記事をたまたまFacebookに投稿したところ、ご紹介いただいた(さすがソーシャルネットワーク!)のがきっかけで実現した呑み会なのですが、「通りに住まう。ご近所づきあいをデザインする」というコンセプトに見え隠れする「コミュニケーションデザイン」のディテールを余すところなくオープンに語っていただくという、非常に刺激的で密度の濃い贅沢な呑み時間となりました。

第二回目の今回は、お仕事でご一緒しているメーカーのクリエイティブの方など、建築や街づくり系ではない異業種の人も巻き込んだのですが、「人と人のつながり」をデザインする。という共通テーマのもと、小田原の街づくりの事例をプレゼンいただきながら、異業種の化学反応を楽しむという楽しい宴となりました。第三回も計画中なので、興味ある方はぜひご連絡ください。

僕自身がシェア生活で日々学んでいることにも通じるのですが、「人とのつながり」やその質を高めることは、ソーシャルメディアにおいても、実際のシェアハウスのコミュニティにおいても同じくらい大切で、そのための手法や「信頼」と「共感」のあり方を、誰もが身の丈に模索し学ぶ時代にあると思います。

ソーシャルメディアを教える一人として、ずっと模索してきました。

コミュニティエンゲージメントとキッチン

原宿THE SHAREに住んでみてわかったのは、建築や空間といったハードのデザインや影響がコミュニティやコミュニケーションに作用するということ。

たとえば、原宿THE SHAREには60人の住人が交流するラウンジの入り口に大きなキッチン空間があるのですが、この共同キッチンが住人同士のコミュニケーションに大きく寄与していて、この場所でなければ、コミュニティの質は大きく変わっていたと思います。

ほどよい大きさの共同キッチンにいると、会話や声かけが自然にできるのは大きな発見でした。「シェアしたいのはモノではなくてコトバ。

普段の生活で他人や異性のキッチンに立つ姿を見ることはないと思います。その意味でもその人の普段知り得ない生活感や人柄がでてしまうという点もあります。それは信頼関係を結ぶ上でいい面に作用することが多いはずです。

また、共同キッチンは他の場所以上にお互いが気を使い合わないといけないところである反面、調味料や調理器具などを共有できる恩恵を別の形で返そうというギブの精神も生まれます。

それぞれが「自分ごと」として、自律的にその場を守っていこう。という感覚を養うには、キッチンが一番向いていて、同時にキッチンの状態はそのときのコミュニティの健康状態を反映する場所でもあるのだと思います。

居心地の良い場づくり

居心地よい空間というのは、その恩恵を感じつつ、自分がなにかしら貢献している空間だと思います。

それは、空間性だけでなく、目に見えないコミュニティや人を感じる人間の繊細さ故なのかもしれません。

住人やコミュニティが自ら参加して居心地よくしていく場づくり。そうした設計やコミュニティエンゲージメントのノウハウがますます重要になってくるのでしょうね。

いえつくさんの「ご近所づきあいのデザイン」するというテーマは、とても可能性を感じるプロジェクトだと思います。

ちょうど、コミットメントの強い原始共同体的なムラ社会と、自由ではあるけれど、分断されてしまったた近代の都市生活者的なコミュニティのちょうど中間にあるような、新しいコミュニティのあり方にソーシャルメディアや時代がチューニングされようとしているのに似ていて、コミットはされたくないけど、誰かと「つながりを感じていたい」という感覚を一歩進んだ形で満たす場所やデザインが、実際の空間設計にも求められて来ていることを実感します。

サードプレイスと呼ばれていたカフェやサロンのちょっと先というか、別の次元にある場づくり。

こんな感覚を模索するための「つながりをデザインする人たち」の呑み会。また企画したいと思います。

コミュニティづくりやコミュニケーションに興味がある人は、業種問わずぜひ、ご参加ください。

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