何故緊張してしまうのか?「アレクサンダーテクニーク」で自分を知る。

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アレクサンダーテクニークとは

アレクサンダーテクニークとは、知らずに緊張している体や心を観察しなおして、本来の体のあり方に出会いなおす「所作」のメソッド。

たとえば、舞台に上がると緊張して声がでなくなったり、普段当たり前にできている動作が不自然になってしまったり。そうしたことは何故起きてしまうのか?

そうした疑問に答えてくれるのがこのメソッドです。

もし、人前で緊張しなくなったり、誰の前でも自然に振る舞えたら、きっと人生も変わりますよね。このメソッドは演技法や音楽家向けの身体のあり方を問いなおすメソッドなのですが、そうした表現者だけでなく、私たちの普段の生活に充分応用可能な考え方が沢山詰まっていて、誰にとっても学びのある内容です。

身体に関わることなので、ワークショップを体験してみないとなんとも言えないのですが、書籍を読むだけでも随分勉強になったので、ご紹介しておきます。

覚えておきたいキーワード

アレクサンダーテクニークでは専門用語がいくつも出てくるのですが、今日はとても重要な二つ。

インヒビション(ひと呼吸の大切さ)

「抑制すること」つまり「自分のクセに対して無自覚にすぐ、なんでもかんでもやってしまうのではなく、一度行動を止めることで、自分のオートマチックに刷り込まれてしまっているクセというものに対して一度自由になろうとすること」(対談で鴻上尚史さんの解説)

アレクサンダー・テクニーク やりたいことを実現できる〈自分〉になる10のレッスン | 小野 ひとみ |本 | 通販 | Amazon

分かりやすく言えば、何かをするときに慌てずに一度深呼吸して俯瞰してみなさい。ということ。

エンドゲイナー(結果を気にして緊張してしまうこと)

結果を気にしてしまうことで、体がこわばってしまったりすること。インヒビションが出来ていない状態がエンドゲイナー。

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このあたり精神論に見えるんだけど、実は考え方だけではなく、そうした状態における身体の緊張や動き方を観察して見直していく身体法がこのメソッドです。

自然な振る舞いをするために

なぜ自然な演技ができないのか?

例えば「喫茶店で珈琲を注文する客」という芝居を即興でやれ!と言われると、大抵普段している当たり前の動作や言葉が出てきません。

この自分の身体や表現に体する不自由さは、まさに「エンドゲイナー」で、「うまくやろう」とか「失敗したらどうしよう」「どう視られているかな』という気負いが、必要以上に自分の可能性を硬直させてしまうことにあります。

そして、「インヒビション」ができず、周りの環境やムードに流されて、自分を見失って慌ててしまい不自然な動きを無自覚にしてしまう。

赤瀬川原平さんの「老人力」のように、自然に肩の力が「抜けてしまっている」老人になれれば最強なのですが、変に若さが邪魔をして気負ってしまう。よけいに「気を抜こう」と努力して、気合いいれすぎて肩に力がはいってしまう。という悪循環。

深呼吸してみる

そこで「インヒビション」です。自分の状態をちょっと俯瞰の視点で見直すような気持ちで、観察しなおす。「あ、緊張しているな自分」と思えた瞬間に、視野が広がってすっと軽くなる感覚。

テンパってしまって自分が見えない時って、息していることすらも無自覚になるので、深呼吸をしてみるだけでも、頭がクリアになるし、顔が持ち上がるので、視界も開ける。

こうした、自分の身体感覚を取り戻す作業ができれば、慌てて挙動不信になることもないのだと思います。

こうしたことを実際の身体感覚として習慣づけたり、取り戻す作業をワークショップを通じて得られるのがこのアレクサンダーテクニークです。

まずは、つべこべ考えずに、心の動きに素直に身体を動かしてみること。自分の身体感覚を意識し直すだけでも、表現力や人間関係、健康など、すべてにおいてプラスになっていくと思います。

なかなか直感的にはわかりにくいですが、エンドゲイナーとインヒビション。意識してみるだけで、随分変わる気がします。この本、オススメです。

結果や人目を気にしない強さと柔らかさ

今日打ち合わせ先で、いま売れっ子の新進気鋭の(音楽)アーティストの方と出会ったのですが、「音楽やってたんですか?」と聞いたら「カラオケくらいです。踊りはクラブでたまに踊ってました(笑)」ってものすごく、力が入ってない。しかも、受け答えも間合いも軽やか。

昔のアーティストと違って、変に気負って(エンドゲイナー)ない。でも、音楽やPVはとても勢いを感じる。この自然体の強さ。

こういう人は、身体の使い方も、心の動かし方も自然にできているんだろうなぁと。この本を思い出してました。

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