分身ロボットのOriHimeを検証していました。
まず、正直驚きの一言です。
基本的にはウェブカメラのついたロボットなので、枯れた技術ということもあり、頭ではどんな感じか?は想定できていたんです。
昨年からVRの検証を始めていたので、テレコミュニケーションは臨場感と解像度をいかに高めるか?ばかりに頭が行っていましたが、長時間のゴーグルは負担も大きく、自然なコミュニケーションへは負荷があり過ぎました。
まさか、アバターのロボットを介して誰かと話す行為がこれほど味わい深いとは思いませんでした。
まずはセットアップ
今回分身ロボットのOriHimeをお借りして、どこかで試そうと思ったのですが、カフェでやるわけにもいかず、イオンモールの駐車場で車の中で実験を行いました。
まずはパイロット(iPadなどで分身ロボットにログインしてコミュニケーションをする人をそう呼ぶらしい)役として、スマホを持って、駐車場を歩きながらのテスト。
ロボットはポケットwifi。スマホは4G回線で繋いだのですが、映像は若干荒いとはいえ、コミュニケーションするにあたって遅延が大きく気になるわけでもなく、普通に会話ができます。
ジェスチャーボタンを押すと、ロボットがアクションしたり、画面をスワイプするとロボットが首を動かすので、好きな方向を見ることができます。
と、ここまでは、正直想定内で、スカイプやzoomと同じですし、ベビーカメラの域なので、驚きはありませんでした。
車に戻って、誰かに遠隔地からこのロボットに入ってもらえないか?メッセンジャーで声をかけてみて、スマホにアプリをインストールしてもらって、入ってきてもらったのですが。
非対称コミュニケーションの妙
驚いたのはここです。
静かに俯いてるロボットを注視していると、急に目が光って、首が上がってくるわけです。
分身ロボットOriHimeにはじめてパイロットが乗り込んだ瞬間。
— HIROSHI SASAKI (@hirosh) February 5, 2020
ドキドキしたw pic.twitter.com/pZkGkpiQhH
そして、友人の第一声がロボットから聞こえた瞬間、まるでロボットに魂が宿ったかのような、そんな不思議な感動がこみ上げてきます。
車内にいるもう一人の僕の友人を紹介すると、ロボットはその友人の方向をむいて挨拶します。
僕ら側からは、相手の様子が全く見えない、一方的にみられている、この非対称のコミュニケーションにも忘れいていた盲点と気づきがあります。
双方向のスカイプやzoomじゃダメなんです。ベビーカメラでも。
友人を人形に召喚する感覚
最初はロボットの様子が宇宙人みたいで怖い。とか、子どものおもちゃに見えてしまうと言う人もいますが、一度、この分身ロボットに友人を召喚して、会話してみると、確実にロボットの形状よりも、別の存在感の方に興味が移って、不思議な距離感と親近感が湧いてきます。
分身ロボットを介することで、心の距離が近くなる。
これは本当に発見でした。
加えて、マルコビッチの穴のように、目の前にいる人形を介して、他人が僕らの空間に入り込んで見られているような不思議な感覚。
そして、会話が終わると、目の光が消え、首をもたげます。
しばらくしていると、また別の友人がログインしてきました。
つまり、常時スタンバイだけど、誰かが入ってきたときのみ、魂が宿って、そして抜けていく。
この召喚具合がまた、面白いんです。
多分、友人側は僕らの興奮や感動はあまり伝わっていなかったかもしれませんが、イオンの駐車場で警備員にチラチラと不審げにみられながらも、興奮冷めやらぬテンション高めな会話でずっと盛り上がってました。
近々、新しい会社を創業予定なんですが、会社のメンバー分これ買って、MTGの時は不在者は分身ロボットに入って、スッと抜けていくようなテレワークスタイル体験をやってみようと盛り上がってました。
いろいろとアイデアや未来が膨らんできたので、早速、いろいろな人に体験してもらいながら、特に、車椅子の方などの雇用創出への挑戦は積極的に進めていきたいと思います。