ちなみに、タイトルのチェンジリングとはヨーロッパの伝承で妖精が人間の子供を誘拐したときに、身代わりにおいておく妖精の子「取り替え子」のことをさすらしく、映画の内容にもいくつかの意味でリンクするところがある。
実話を基にしてしまうと、映画的には淡白になりがちだけど、この題材となった事件やその当時の時代背景がまた、実話とは思えない映画的な素材だけに、充分見ごたえあるものになっている。
日常や常識を少し超えた世界を安全なカウチから垣間見てみたい願望を満たしてくれるところが映画の魅力。その意味では、90年前に起きたことや、その時代背景を普通に眺めなおすだけでも、今の常識では考えられないものがある。
でも、これから100年後の世界から今の時代を見直してみると、まだまだ喜劇のような茶番の世界を僕らは生きているような気もしてしまう。
ただ、アンジェリーナジョリーの迫真の演技で描かれた時代を超越した母の強さみたいなもの観ていると、どんな時代においても、子を思う母親のあり方や、その思いは変わらないんだろうなぁと、少し安心感の沸く映画でした。