NHKのNHK
ETV特集「ある地域医療の“挫折”北海道せたな町」を観る。
北海道のせたな町という合併間もない地域を舞台にした診療所のドキュメンタリー。
地域医療に情熱を傾けた医師が行政とともに、献身なる活躍で地域医療の改善に成果をあげ、日本一老人医療費の高い町の汚名を返上するも、合併に伴い新町長と対立。その町を去っていくところまで描かれていました。
とてもよいまとめがあったので、引用します。
番組の内容であるが,大筋の流れとしては
(1) 瀬棚町は典型的な僻地病院で老人医療が高騰(人口当たり日本一だった)
(2) 町長が地域医療の専門医である村上医師を招聘した
(3) 村上医師の意見を取り入れ,パラメディカルを充実させ予防医学に予算を取った
(4) 結果として7年間で老人医療費が減少,住民の医療に対する満足度は高かった
(5) 北檜山,大成と合併が決まる。合併後の医療政策は棚上げのまま町長選挙へ
(6) 北檜山出身(町議会議員)の市長が当選
(7) 旧瀬棚の医療方針は予算上困難であり打ち切る方針
(8) 村上医師は反発,意見を上申するも却下され,辞職
(9) パラメディカルも多数退職,事実上地域医療システム崩壊
財政難の町を建て直すという大事業をやっている町長にも言い分はあるのだと思いますが、あれほど地域医療に熱意をもち、町民の信頼をえていた医師を町からさらせてしまったのは、町にとっても財政以上に大きな損失だったのではないかと思います。
テレビ的なバイアスはあると思いますが、この街にもあんな先生がいたらと、うらやましく思うほどの人柄と情熱。それほどいい先生に出会うのは至難。
それは過疎化した地域だけでなく、都会でも同じ。
そういった志の先生を地域がお金を積んでも雇えるものでもなく、むしろお金積まないとこない医師が地域から信頼される人材とも思えないですからね。イン・ザ・プールの伊良部さんみたいなとんでも医師は別として。
映像はひとつの局面しか現せないので、そこからすべてを感じ取ることはできませんが、困難が立ちはだかるときこそ、「お金」の力ではなく情熱をもった「人間」の力をより必要にすべきなんだ。ということを忘れてはいけないと改めて感じました。
病気に関しては本当に心細いですよね。そんな時に心の支えになるのは、病院の大きさではなく、むしろ身の丈で話あえる一人の医師や人間です。そういった先生が番組を通じてどんどん増えてくれるといいなぁと思いました。
いいドキュメンタリーだったと思います。
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