アメリカン・ビューティー
正直、痛い映画だった。
まるで細かいガラスの上を素足で歩いているのに、社会という床が空回りしていて、傷つけたくないものを傷つけてしまうような。
でも、ただアメリカの現代社会を皮肉っている映画だったら、「自分が何に触れたんだろう・・」なんて考えるために感想を書こうとはしないけど、映画の完成度なのか、見終わった余韻がなにかを書き留めておきたくなる気分にさせられました。
(映画の中身はネタバレになるので、見終わって感じたことを・・)
自分からは目を背けられない
見たくない現実からは目をそむけたくなるのも、それが自分の一部だってどこかでわかっているから。
この映画も、「これはフィクションだよ。これはアメリカの現代社会だよ。」って、自分の世界と切り離して観たくなる気持ちとは裏腹に、どこかに自分が映し出されているような気がしてならないから、顔を覆いながらも指の隙間から見入ってしまう。
登場人物はみんな滑稽だけど、憎めない。いや、憎みきれない。それはどこか自分だから。
空回りした世界に振り回されて、自分の足元が見えなくなることってよくあるけど、そんな時にこそ、どうすべきなのか?
この映画の余韻は、それを考えさせてくれる時間を与えてくれたような気がした。
答えよりも大切なその猶予を。
ちょっと衝撃的な結末。まだ整理がつかない。