奇才という名がふさわしいデイヴィッド・リンチの作品。この映画はむしろ映画館で観るよりDVDでなんども観返して楽しむほうがいい。
それだけ初見は難解。まるで夢の世界を観ているようで、支離滅裂。でも、観終えた段階からゆっくりと引き戻すようにたぐり寄せると、緩やかに不安定な一本の線でつながっている。
そして、二度目はその糸を命綱にもう一度はじめから出発するとその意図がみえてくる。
これは面白い。
当時は監督自ら映画のヒントをウェブで(現在はwikipedia参照)公開しており、観終えたあとにそのヒントを頼りに、仕掛けられた罠を読み解く面白さを演出していたり、劇場チケットの半券をもっていくと割引にするなど、かなり挑戦的なスタイルだったようだ。
いまは、この映画の解読に挑戦した人の様々な意見をウェブで参照できるので、カウチにノートパソコンを用意すれば、観終えてすぐに謎解きが楽しめる。誰かと一緒に観ていたら答えあわせにその後1時間は楽しめること間違いない。もう一回映画を観なおしたら、半日は十分楽しめる。
そう思えば、デイヴィットリンチの作品はネットを意識したソーシャルな時代にふさわしい映画かもしれない。いまの時代ならば、もう少し難易度をあげてツイッターで憶測をかわしながら、映画公開前後にARG的な複雑なプロモーションも展開できそう。離れた場所の人と同時視聴して、その後ソーシャルネットワーク上で意見を交わしあうなど、新しい楽しみ方ができる。それも面白そう。
「何度も観たくなる映画ってどれ?」とうい問いに即答できそうな一本が増えた。
オススメ。