素粒子物理学から一般相対性理論、そして超弦理論を通じて宇宙の誕生にまで迫る渾身の全4回。
天才物理学者たちが100年かけて探求してきた万物の理論〜私たちが暮らすすべての物理法則を数式で表す(神の数式)に挑む歴史ドキュメンタリー。
これはすごい見応えたっぷりのシリーズ。印象的な部分をピックアップ。
「美しさ 」というアプローチ
物理法則は数学的に美しくなくてはならない。(ポール・ディラック)
実験結果から計算式を導くのではなく、物理的な美しさ(対称性)をもって、数式の美しさから真実を見出そうとするアプローチ。
しかし、対称性だけを追い求めても、数式で完全にあらわせた世界が現実では必ずしも、そのように振る舞うとは限らない。
美しさ(という完全性)を探求しながらも、(完全とは変化してしまうもの)という、美への洞察を加えなければ、数式が完成。それ以外のなにかを
完璧な美しさは倒れる運命にある。(自発的対称性の破れ)(南部陽一郎)
ヒッグス粒子と呼ばれる当時未知の物質を理論的に使うことで、どうしても対称性だけで導けなかった問題を自発的対称性の破れを通じてスティーブン・ワインバーグが証明(もう、この説明だけでは何のことやら?と思いますが。。)したのですが、その粒子が実際に2012年に発見されて、この世界をつくる4つの素粒子と3つの力を書き表した「標準理論」が完成。これが万物の法則を示す「神の数式」にもっとも近いと呼ばれるものとなりました。
存在とはなにか?
正直、この番組に出てくる数式は僕のような凡人には到底理解できないものだけど、100年に渡る物理学者が何にどんな思いで、世界や宇宙に挑んできたか?はわかります。
特に上にとりあげた、「対称性」という美しさからアプローチする。という論理的な美しさは、デジタル的な完璧さを感じさせますが、やはり、情緒的な美しさ(アナログ的)には、諸行無常の常に変化しつづけてしまうからこそ、美しいという視点を感じます。
後者がなければ、本当の美しい神の数式に近づけなかった、この100年の苦悩は、まさに、アートの世界を感じるもの。
もしくは、縁起や空といった、私たち人間とはなにか?といった仏教の哲学に似ている気がします。
神の数式とはなにか?ではなく、物理学者が目指した探究心の先にあるもの。そしてその探求の間にぶつかってしまう様々な矛盾。
私たちはなぜ存在するのか?そもそも存在とはなにか?
物理学者が対称性やその破れといった、数式に美しさや矛盾を取り入れることで万物の真理に近づいてきているように、仏教的な思想も直感レベルで「空」といった考え方で世界の有り様を示してきたのです。
ロジックや数式、仏教では教典で世界を知るだけでなく、修行を通じて