万引き家族 (子供二人編)

やっと観れました。万引き家族。観終えたあと、ずっとこの映画の余韻が消えず、忘れないうちに書き残します。

『万引き家族』予告編

<ネタバレ注意です>

家族の中にいると、親も子も自らの成長や変化は感じにくい。

だけど、一歩引いて、家族であろうとしている彼らの姿を見ていると、実は家族全員が一人一人葛藤し成長してるという当たり前の事実に気づく。

この映画は、居場所のない不器用な生き方をしてきた六人が、家族という居場所を求めて。いや、違う。それぞれが、安心して一緒にいられる場所や関係を求めた結果、それが本来の「家族」のあり方になっていて、登場人物も、観ている僕らも、血縁=「家族」といった形骸化した先入観にとらわれるが故に見失ってしまっているたくさんのことを皮肉にも教えてくれた映画になっている。

だから、この映画を最下層の犯罪家族といった、他人事のように単純化して捉えることができない。

ある部分では、現実の家族像は彼らの絆を超えられないのではないか?とすら思って心を揺さぶられてしまう。

むしろ、それぞれの成長の物語は、現代社会の共依存してしまっている家族からすると、違う意味でファンタジーだ。

万引きを繰り返す祥太くんが父親を敬いながら、懐疑し、そして妹や家族を守ろうと葛藤しながら成長し、やがて巣立っていく姿。

虐待を繰り返されていた家族のもとに戻り、凛とした態度で実の親と対峙していく幼い少女もまた、自分の世界から、もう一つの家族を愛おしくながめるほどに成長していく。

月並みだけど、多くのものは失ってしまわないと気づかない。

彼らもまた失ってしまったもの以上に「成長」という大きな糧を得て、自立していく。

その姿を見て「家族」が物理的な場所を超えて本当の心の居場所になった瞬間を、初めて見てしまったような、そんな深い感動を味わってしまった。

当たり前のように存在する普通の家族ではなかなかなし得ない、本当の親離れ子離れのあり方がそこにあるのだと思う。

すごい映画観てしまった。

安藤サクラさんすごい。

みんなすごいキャスティング。

昔から大好きな池脇千鶴さんも、すごく嫌味なステレオタイプの役柄をはっきりと演じてくれていて、この映画の家族像を、よりくっきりと浮かびあがらせてくれた。

それぞれの配役分味わい深い映画なので、ほかのキャストに関しても感想書いてみたいと思います。

Shareこの記事をシェアしよう!

モバイルバージョンを終了