見終えて、深くずしんと響く映画。
同じくクリントイーストウッドの「グラン・トリノ」に通じる、せつないけど、良質な重さを感じる映画でした。
生きることだけでなく、死ぬこと。その両面を平等に描いてみせつつ、その難しいテーマを、現代の米国社会の歪み、宗教観、民族のメンタリティ、資本至上主義。様々なメタファーに置き換えて娯楽として見せてくれる。映画のスゴさをまざまざと感じる作品。
もし、まだ観ていないなら、トレイラーを観ず、事前知識も入れず、気軽にぜひ観てください。そしていきなりリングの上に立たされて、何も考える暇なく、主人公と一緒に2時間必死に生き抜いてみて、最後の瞬間を味わってみたときに、自分の中に何が残るか?をぜひ感じてみてもらいたい。
複雑な感情の中にもきっと、まだなにかの火種を感じるはず。それが何か?
その問いに向き合うことで、自分の価値観や軸が見えてくるはずです。
よい映画は試してきます。消化不良の考えやテーマといった弱い部分や、覚悟のないところにジャブやボディブローを狙って打ち続けてきます。映画を見終えたとき、リングを舐めながら「なんで、こんな思いしなけりゃならないんだ。」的な失望感や疲労感にすら見舞われます。
でも、こうした心の中にひっかかりを残してくれる映画って、本当にいいですね。言葉にならない、そのメッセージをじっくり味わうことができる。心に響くとはこういうことなんだと思います。
オススメ映画です。