死神の精度

死神の精度 (文春文庫 (い70-1)) 伊坂 幸太郎

伊坂幸太郎のテンポのよさや言葉の選び方が楽しくもあり、でも、それが逆に目立ちすぎて読みづらさを感じる瞬間がたまにあるんだけど、この本は全編とても読みやすく楽しく読めます。やはり勢いのある作家の作品ってこんな感じなのかな。出始めからぐいぐい引き込まれて、とまらなくなります。

映画版で死神役の金城武をまだ映画では観ていないのですが、頭の中では完全に彼の死神が主人公になって読み進めてしまいました。きっとはまり役なんじゃないかな。

ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」が人の生きる姿を通じて死(不老不死の天使からみた死への憧れ)をホットに見つめる映画とすれば、こちらは誰もが直面する死という当たり前の出来事を通じて人が生きることをクールに見つめなおす作品なのかもしれない。

人間っておろかだけど、善や悪を超えて死神には理解しがたい「人間らしさ」がある。ヴェンダースの「ベルリン天使の詩」が僕の中で好きな理由がまたひとつこの本を通じて見えた気がした。

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