「ひとつの友情がアメリカを変えた」
https://www.nhk.jp/p/ts/9N81M92LXV/episode/te/K783QV45G4/
真珠湾急襲から日米開戦、そして多くの日系人が強制収容され、日系人部隊は過酷な前線に送られた。
そんな第二次世界大戦を経て、人種差別問題と戦った、ひとりの日系人連邦議員と、時を同じく公民権運動を戦った黒人議員ロン・デルムスの話。
歴史の教科書に出てくるような人物ではない二人を、丹念なリサーチと当時の映像素材をもとに再現しているあたり、これぞ「映像の世紀」ドキュメンタリーの醍醐味を感じる作品でした。
真珠湾攻撃の日。ハワイで医学生として暮らしていた日系人。ダニエル・イノウエ。
急襲する日の丸の戦闘機を見た彼は、罪悪感を背負い日系人兵士としてヨーロッパ戦戦に自ら志願する。
戦場で右肘を撃ち抜かれた時、同じ前線に送られていた黒人兵士たちの救護を受ける。17回もの輸血で右手を失いながらも、一命を取り留める。
その時のイノウエの言葉が印象深かった。
「私の体には黒人の血がたっぷり入れられているのがやっとわかった。戦士が戦闘のこと以上のことをしている。それがただありがたかった。」
「ひとつの友情がアメリカを変えた」 – 映像の世紀バタフライエフェクト – NHK
目の前で屍が積み重なる戦場で、英雄でもない一人の兵士を必死に救おうとすること。
それってなんなのだろう?
前線という神経がおかしくなりそうな現実に生きながらも、目の前の命を必死で救おうとすること。
人間の中にある魂がぎりぎりのところで侵食されず崩壊を免れた時、通念や理屈ではない何かが残るのかもしれない。
その時に肌の色なんて関係ない。
人間同士が殺しあう愚かな戦争も、まだまだなくならない現実。
人種差別も同様に完全に消えない。
格差や分断も同じく。
だからこそ、今を生きる僕らは、言語や人種や国家や宗教を超えて人が分かり合える理想を失ってはいけないのだと思う。
本当に克服すべき課題には暴力ではなく、知性でアプローチするものなのだとも思う。