ブレない生き方とはなんだろうか?武器商人に見る人生観。映画:ロード・オブ・ウォー

世界に無知な自分を発見して、はと我にかえる瞬間。

見終えた後、世界の景色が変わってしまう映画体験がたまにあるけど、この映画はまさにそう。

最後の最後まで安心して映画を見ていたら、実は映画の中の世界がリアルで、画面から目線を外した世界が夢見心地な映画であるような。

社会の裏と表のリアリティを映画エンターテイメントでアプローチした作品。

ジムキャリー主演のトルゥーマンショーを観ていて笑っていたら、実は自分が映画に登場人物だったような、そんな奇妙な映画体験でした。

レストランで働く平凡な男ユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)は、偶然銃撃戦に巻き込まれたことから、武器商人として生きていく道を思い立つ。弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)とともに武器売買の事業を始めるが……。

情報源: 解説・あらすじ – ロード・オブ・ウォー – 作品 – Yahoo!映画

この映画は実在の武器商人をモチーフに実際の映像(この中に出てくる武器は実際に取引される現場の実物らしい)を使って、なんとも言えない緊張感と現実離れした、リアリティを醸し出していて、独特な臨場感があります。

そのリアルな世界をニコラスケイジという、よく観る「役者」が演じることで、安心して観れる怖い世界に仕上がっているところがポイント。

個人的には、武器商人の暗躍を描いたストーリー部分よりも、初心貫徹する軸のブレない主人公の生き様に実は衝撃を受けたのだと思います。

私情と罪悪感を排除すること

武器商人が一切の私情を排除して、淡々とビジネスを遂行していくところ。その間に罪悪感を感じているビジネスパートナーである弟との対比に多くの人はこころ揺さぶられると思います。

roadofwar

ニューロロジスティックモデル 自分の能力に忠実である。という信念。

お金で割り切る兄の行動の影で、多くの人がその武器によって命を奪われている「現実」に心を傷める「弟」の心情に同情を寄せるはずです。この図は「ニューロロジカルレベル」という、NLPという心理学で用いられている図で、自己のアイデンティティ(軸)を頂点にするならば、一番近い<信念>(大切にしていること)が定まっているほど、能力や行動が明確になり、行動に強さが生まれる。というものです。

何を大切にしたいのか?わからない人は、いくらスキルを伸ばしたり、資格を取ったり、行動を変えても、つねにフラフラしてしまい、軸を見失います。やっていることはわかるけど、何がしたい人なのか、常にしごとや人生に迷いがちな人の典型ですね。

ビジネスにおいて軸のブレが少ない人は、間違いなく信念(大切にしたいこと。本当にしたいこと)が明確です。

では、この主人公は、何を信念に武器商人というビジネスを行ったのでしょうか?

一見すると、人の命を倫理的な観点で大切にしようとしたら弟には、信念があって、お金のためだけにすべてを割り切っている兄には、信念がないように思います。ただの金の亡者のように。

軸がブレない人はどんな人か?

もし、弟さんのその信念が本物ならば、決して兄とはビジネスをしなかったはずです。

弟さんは、常に自分の活かし方に迷い、自己否定的な行動を取っていました。そして、兄と行動しながらも、常に罪悪感を抱えています。対比的に兄はいつも目の前のことを淡々と遂行し、私情や罪悪感を排しどんな危険な取引の現場でも、冷静に行動をします。その腹の据わった「軸のブレなさ」は映画とはいえ、実在する取引きの現場にも同じリスクがあると思えば圧巻です。

お金のためならば、もっと安全なビジネスを考えてもよいはずです。

才能に忠実であるという信念

妻になぜこのビジネスをしているのか?と詰め寄られるシーンで、主人公が一点の曇りもなく答えた一言がヒントだと思います。

お金のためではない。自分の才能のためだ
石油王のデビット・ロックフェラーの「神から与えられた自分の(商才)才能を活かすことが世界のためだ」と言ったのを思い出します。

アメリカの資本主義社会に代表されるような詭弁的なセリフではありますが、印象深いものがあります。

上の図で考えるならば、信念を先に考える前に「自分の能力に忠実であること」も一つの信念になりうる。という考え方。起業や一代で財を成した人のパターンだと思います。(言い換えれば、二代目がうまくいかない理由もここにありそうです)

自分を大切にすること

違う見方をしたら、自分を大切にしているのは、弟さんよりも、兄のほうかもしれません。

自分に迷い、未来や過去に生きるよりも、今できることに忠実であり、「自分にできることを信じて、ただ行動すること」で、その迷いを振り切る生き方。

もちろん、主人公のような冷静な生き方よりも、どちらかというと弟さんのほうが人間的でシンパシーを感じますが、実のところ、自分の能力を生かしてくれる人を待っても、(利用する人は現れても)なかなか現れません。

誰よりもそれが出来る(信じてあげることができる)のは、自分自身だということです。

武器商人という不謹慎な職業ですが、彼がこの商売に出会った時、エクスタシーに近いほどの興奮を感じるシーンがあります。

ワクワクすような体験。これがやりたかったことだ!と気づく瞬間。

そこを見逃さず、好きなものに忠実に生きる生き方。

後先ではなく、いまに忠実である生き方。

なかなか、頭では想像しずらいイメージいだと思いますが、この映画の教えてくれるもう一つのリアリティがそこにあります。

ぜひ、ご覧になってみてください。

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