Viva la Vida(美しき生命)
嵐のような風と雨が通り過ぎるように、長い痛みが和らいだ朝。
昨日のことがまるで嘘のように空がすっきり晴れ上がっていた。
近年まれに見るほどの暴風雨が日本に上陸して、北上を続けたとき、神懸かりなその雨風はひとりの古い友人を天まで連れて行ってしまった。
早すぎる訃報。
嵐の朝、事務所で朝まで仕事をし仮眠をしたまま起きることがなかったという。
彼ほど生き方に刺激をくれた人はいない。朝まで理想を語りあい夢を語って過ごした日。
一緒に目的地を決めずいきあたりばったりの旅をし、キャンプ場で語り、歌い。ふたりバンドを結成してはじめてふたりの曲をつくったとき。
音楽も、自然を愛する気持ちも、仕事もライフスタイルも常に先を行っていって、でも、あまりにも志が近いからこそ、永遠のライバル、永遠の兄でもあったこと。
お互いを刺激しあいながらも、どこかで見栄をはってしまい、素直になれたなかった。お互いをうらやんでしまっていたのかもしれない。
がんばっていたのは、すべて、そのビジョンのため。青臭いころからずっと夢見ていた暮らしを目指すため。
お互いの夢が叶ったときに、心を割ってじっくり家族同士の付き合いがしてみてかった。彼ほど生きるビジョンが近い人はこの世にいなかったと思う。
Coldplayの「Viva la Vida」の意味には「Live Your Life」「生命萬歲」(中)、「自分の人生を生き尽くせ、人生万歳」という意味があるという。
自分の人生を、そして家族の人生をすべてに全うしようと全力で生き抜いた彼の生き様に万歳。
ご冥福を祈ります。