「夏の庭」湯本香樹実

「人は死ぬとどうなるのだろう?」

一人の少年の祖母が亡くなり、葬儀に参列したエピソードを聞いた晩から、幽霊に追いかけられる夢でうなされる少年達。

「人の死」知らないことへの不安。

そして、その不安を拭うために、それを「知ろう」とする探究心。

彼らの取った行動は、死期が近いと評判の身寄りのない老人を観察し、その死に目に立ち会おうとすることだった。

コミカルでありながら、「わからないこと」に子供なりに向きあおうとする、少年たちのまなざしが逞しくも、まっすぐで、心に残る作品でした。

大人になってみると、子供の頃にわからなかったことが、見えてわかってきているようなつもりで、でも、僕らにとってみても世の中のことはわからないことだらけ。いや、「わかったつもり」になったことだらけ。

こんなことを言うと、子供にがっくりされるかもしれない。

むしろ、「わからないことだらけ」の子供の頃の方が、世界がクリアにみえていた。

成長って、わからないことを理解していくことではなく、わからないことを理解しようと向きあい続けることなのだと思う。

すべてを分かることはないから、人は一生成長しつづけられる。その探究心や好奇心こそが人を成長させるのだ。

「なぜ?」という気持ち。それをおざなりにせず、自分なりに立ち向かってみる。

まさに夏休みの自由研究。

だから、夏休みが終わると、子供ってどこか成長して帰ってくるようなそんな気がするのかもしれない。

お盆も終わり。結局夏風邪であまり出歩けず、今日は一日部屋の掃除をしていたので、休みの最後に夏らしい小説を読もうと、ネットを検索していたらこの本の紹介が目に止まり、慌てて閉店間際のブックオフに駆け込む。

105円コーナーで一冊発見。そのまま、夜カフェしながら一気に読んでました。

さらっと読める本なので、ちょっと庭先なんかで風鈴の音でも聴きながらとか、帰省先から帰る電車の中とかで読むのにオススメ。

どこか、ちょっとだけ夏休みを味わいに冒険の旅に出ようかな。

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