ケヴィン・アロッカ 「バイラルビデオが生まれるメカニズム」


Kevin Allocca: Why videos go viral | Video on TED.com.

ヒットするYouTubeには3つのポイントがあります。

  1. Tasetemaker [流行の仕掛人の存在がいる]
  2. Partcipation [あらたな作品を生み出しやすい素地がある]
  3. Unexpectedness [作品に予想外さがあること]

1)Tasetemaker [流行の仕掛人の存在]

有名人に取り上げられること。
この例では、マルカム・グラッドウェルの「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」にあるように、インフルエンサーの存在によって、情報がティッピングポイントを迎えアクセス数が急上昇するパターンが取り上げられている。

でも、最近発売されたポールアダムスの『ウェブはグループで進化する ソーシャルウェブ時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」』では、これを批判し、現実には大きな影響力を持つ人とのつながりよりも、影響を受けやすい人たちとのつながりに着目することのほうが重要だと述べています。

たしかに、テレビに取り上げられれば、どんなものでもアクセス数はのびますが、その恩恵を受けるのは現実的ではなく、どちらかというとマスメディア的志向。ソーシャルメディア的なバイラルを考えるならば、そうした博打よりも、現実的な人間関係やネットワーク、コミュニティ(グループ)のあり方や特性を見極めた方が、現実的なアプローチになるかもしれません。

例えるならば、いきなり学校全体の人気者を目指すために、影響力ある友達にすり寄るのではなく、まずはクラスの中でも情報感度の高い友達間でのプチ人気者を目指すような考え方かな。

こうしたティッピングポイントをどのように引き起こすか?というテーマは、コミュニティや人間関係のあり方を見直し、自分自身の振る舞い方や有り様を学ぶ上でひとつの気づきにつながるのだと思います。

2)Partcipation [あらたな作品を生み出しやすい素地]

このビデオ素材から新たな作品が生まれるような素地があるもの。たとえば、ミニモニが登場する番組の1シーンが世界中の様々な作品に化けた作品。「Dramatic Chipmunk」というのがあります。

この作品の最後の部分がユーザーの改変により様々な作品に変化していきます。

この作品の場合オリジナルはそれほど重きを置かれていないので、元の作品の視聴数はそれほど影響されませんが、YouTubeらしいバイラルのおこり方ともいえます。日本ならば、初音ミクの作品なんかもそうでしょうね。

これは、改変する面白さというよりも、作品そのものに「(Partcipation)参加」する楽しさがあること。従来の受動的なメディアのあり方から、発信者と受信者の境目をなくしたソーシャルメディア的なコンテンツのあり方を示したよい例でしょう。

結果論でもありますが、そうした気持ちにさせる作品づくり。というのが、ソーシャルメディア時代の創作のヒントでもあります。

3)Unexpectedness [作品の予想外さ]

想像つかないもの。単純さ。

ということですね。きわめてシンプルですが、ノンバーバルな言語に頼らない動画コンテンツの場合、誰が観ても笑ってしまうものは多くの支持を得ます。まず、予想外な「驚き」。一瞬びっくりするような転換があって、その構図のズレで「笑い」を誘うコンテンツ。

それをあえて狙ってつくられたのが、まさに、TEDのプレゼンテーションで最後に紹介された、ケイシーナイスタットさんの、自転車レーンの危険性を訴えた映像でしょう。

まさかこんなアプローチで訴えるとは。

ケヴィン・アロッカさんのプレゼンテーションでは、これからのソーシャルメディア的エンターテイメントのあり方として特筆的な例が述べられていますが、ソーシャルメディアでのエンターテイメントにしろクリエイティブのあり方においても、やはり重要なのは、瞬間風速的な評価だけでなく、それを起点とした長期的な信頼性の獲得だと思います。

バイラルを起こしたとしても、それで終わってしまうのではなく、その前後にストーリーがなければ、本当の意味の成功にはならないでしょうね。