昨年末に尊敬するフリージャーナリストの林さんがツイッターで紹介されていた映像。2010年の「映像はじめ」としてみたプレゼンテーション。
まず、非常に同感。心に深く刻みたいスピーチ。
規範を守るあまり人としての品格を失ってしまうのではなく、人と関わりあっていくなかでしか会得することができない「実践知(プラクティカル・ウィズダム)」を大切にすること。
行政の窓口やサポートセンターなんかで、「それは規則ですから」と冷静に対応されたときに、「その規則をあなたは本心からそう思っているのか?」 問い直したくなるときがある。
「いや、私だってこんなことを言いたくはないんです」という。本当に思ってもいないことを、これは仕事だからと言い訳をする。そもそも仕事とは一体なんだろう。その人の人間性や魂を軽く差し出せるほど価値のあるものなのだろうか?
当然、その人が悪いのではなくて、そうした人と人が対話しているのではないような瞬間を生み出してしまっている今の「社会システム」が問題なのだと思う。
極端に言えば、個として生きることを是とされてこなかった、戦後に続く全体主義や、分業化が進んでしまった労働や社会システム。
そうなってしまう人たちは、ハンナアーレントのいう「悪の凡庸さ」とでもいうべき、全体性に流されてしまっている無自覚な犠牲者なのかもしれない。
とはいえ、本当に僕らは、自分で考えた世界を生きているだろうか? 当然、作られた世界を見破って自分の意思で自由に生きるのは難しいし、そんな視点に立ってなかなか俯瞰はできない。
でも、少なくても、「誰かに言われたから」「みんなやっているから」ではなく、「自分はそう思うから」という人間的な意思で柔軟に生きていくところから始めたい。
ブログもこの「実践知」を試す場として、発している言葉が本当に自分の言葉かどうか?見極めながら実践する学びの場になるのだと思う。
本当に何度も見直したいスピーチ。