坂 茂: 紙で出来た避難所 | TED.com

震災や台風など大規模災害で崩壊してしまった建造物を、紙の素材を使ってゼロから作り上げる。え?紙で作って、壊れたり、燃えたりしてしまわないのか?

被災直後に現地に入って、紙で出来た資材を使って数々の住宅や避難所、教会などをつくってきた建築家坂茂さん。

権威や富の象徴を表現する役割としてあった建築や建築家としての役割を問い直し、社会にとって必要な建築のあるべき姿。社会における建築のプロフェッショナルとしての役割を明確に意識した氏の活動について紹介しています。

坂 茂: 紙で出来た避難所

坂 茂: 紙で出来た避難所 | Talk Video | TED.com.

大規模災害の時に、どの国でも調達できる素材と、そこにいる人手だけで作り上げられる建築物。そして、堅牢性と美的感覚を兼ね備えたもの。そうした条件をクリアした建材として「紙管」を見出し様々な被災地で建物を造り続けてきました。

紙管を使った建造物の耐久性や堅牢性を彼はひとつひとつ丁寧に説明をし、現地の人と共に建物を作り上げることで、少ないコストで迅速に教会や建築物をつくりあげます。
TOTO COM-ET:淵上正幸のアーキテクト訪問記 / 坂茂氏 / 紙の建築

でもそれは、コストだけの問題ではなくて、現地の人と一緒につくるというプロセスにも意図があったのだと思います。

「となると、何が恒久的で何が仮設なのか疑問がわきます。紙で出来た建物であっても、人々に愛されれば 恒久的なものになり得ますが、コンクリート造でも金儲けの為につくると 一時的なものになるのです。」

愛されなければ建物も仮設になる

愛される建物。それは、美しさや機能性、快適性もさることながら、きっと、「一緒に作る」という行為からも生まれる気がします。

ひねくれた解釈かもしれませんが、ほとんど建築に関与しない建て売り住宅などは、数十年住む為の「仮設住宅」を買っているとも言えます。

これを観ながら、ダッシュ村の三瓶さんを思い出しました。

昔の人は、土地にある土や木材を使って必要なものは作っていたんですね。

改めて、建築物を愛し愛着をもつことで、恒久なものになる。という視点。あらためて自分の住んでいる場所と対話してみたくなりました。

ユニークさと奇抜さは違う

このTEDトークには含まれませんが、番組の対談(NHKの番組)の中では「Unique(ユニーク)」と「Unusual(奇抜さ)」は違うという話が興味深かったです。

学生が描いた図面を見ながら「どうして、この曲線にしたのか?」という質問をすると「なんとなく」「東急ハンズで買った曲面がこれだったから」という返答が返ってくるというエピソードに触れて、ものづくりは「奇抜さ」や、「直感」だけに頼るのではなく、「何故?」という「問い」とそこにある普遍的な価値(ユニークさ)を必死に見つけ、きちんと思考を練って、論理的にプレゼンする努力が必要がある。という指摘。なるほどですね。

プレゼンテーションでもよく思うのですが、大切なのは「自問」だと思います。どれだけ、その課題やアイデアに対して問いかけたか? もしくは、自分に問いかけるために、プレゼンテーションは役に立ちます。

自分の考えや作品を押し付けるのではなく、そこにある意味や役割を考え抜いて、必然を求めて(設計)してきた氏だからこそ重みのある言葉。

相手のオーダーにあわすだけではなく、その場所や人に問いかけて、共に創り出すこと。

ソーシャルメディアの世界では、CGMなどユーザー参加型のものづくりや交流が試行され続けて来ていますが、建築の分野やあり方や、これからの恊創社会のあり方に根ざした姿勢。とても学びの多いトークでした。