ジェニファー・ゴルベック: カーリー・フライの謎解き — ソーシャルメディアでの「いいね!」があなたの秘密を明かす? | TED.com

人はなぜソーシャルメディアを通じて、情報発信をするのか?
ワークショップで必ずディスカッションするテーマです。

人はなぜ?いいね!をするのか?なぜ、いいね!ボタンはあるのか?
そんな無自覚なコミュニケーションにこんな危険がはらんでいることを、コンピューターサイエンティストのジェニファー・ゴルベックさんは示唆しています。
ジェニファー・ゴルベック: カーリー・フライの謎解き — ソーシャルメディアでの「いいね!」があなたの秘密を明かす? | Talk Video | TED.com.

何気ない情報表現からこれだけのことが推測される。

女史の研究室で開発された手法を用いると、普段何気なく発信している情報やコミュニケーションの文脈から、「人々の政治的傾向、個性、性別、性的傾向、宗教、年令、知能。それに加え、知人をどの程度信頼し、どれくらい深い関係か?」 といったことを解析できるようになっているそうです。

こうしたことは、ユーザーの個人情報を解析していくと、ある程度特定されることを、別の事例で示しています。

オンラインでの情報行動から妊娠予定日まで測定する

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Targetはこの15歳の少女が 親に妊娠を打ち明ける2週も前に、哺乳瓶、おむつ、 ベビーベッドの 広告とクーポン券を 送りつけたのです。 父親は激怒しました。 Targetは 親さえ知らない 高校生の少女の妊娠をどうして知っていたのか? 判明したことは、彼らには、何十万という顧客の購入履歴データがあり、彼らが言う所の妊娠スコアというものを計算したのです。 単に妊娠の判断だけでなく 予定日の推定さえするのです。

引用元:ジェニファー・ゴルベック: カーリー・フライの謎解き — ソーシャルメディアでの「いいね!」があなたの秘密を明かす? | Talk Video | TED.com

たしかに購買行動や「いいね!」などの共感行動をみれば、いま何に関心があるのか?は分かって来ます。これをレコメンド広告と結びつけることはそれほど難しいことではないことです。

情報は検索するのではなくされる時代へ

131029-0001このスピーチを観て思い出したのは、以前流行した「アキネーター」というサービス。
ランプの魔人があなたの心を見通します

頭に思い浮かべた著名人に関することを5択で選択していくと、ずばり当ててくれるサービス。

これをやって驚く人は多いと思います。

まさに、いま僕らが「いいね!」しているのは、こういうことであって、「いいね!」ボタンは実は現在の気づきづらい「検索エンジン」もしくは「レコメンデーションエンジン」なのだということ。

つまり、近い将来、頭に思い浮かんだ欲求を検索する前に先回りして提示してくる時代がくると思います。「そろそろ、珈琲が飲みたいと思っていませんか?」みたいな感じで。

その他、このスピーチでも指摘していますが、「いいね!」はその対象に向けての共感だけでなく、「同類性」つまり、似た者の同士の共感であって、なに(What)に共感しているのではなく、誰(Who)にいいね!していると考えたら、「いいね!」からは別の文脈が読み取れるのです。

僕らの「インサイト」(無意識の消費行動や欲求、情報行動など)を推測し、購買行動や広告に結びつけて利益をあげているのが、現在のプラットフォームビジネスではありますが、プライバシーというのは、なにも、住所や氏名といった個人情報ではなく、嗜好や人間関係も含めて、再考すべき問題であるということ。

もう少し近未来になると、ゲノムレベルの情報すらがアカウントに紐づいて解析される時代もあるかもしれません。

むやみに、防衛的に考えるだけでなく、この彼女のように、積極的に働きかけて、ネットワーク社会に向き合って行く姿勢も大事ですね。

たまには、自分が無自覚に無意識にどんな行動を取っているか?お互いに対話しあうのも情報リテラシーを高めていくうでで大切な学びになると思います。

これからのソーシャルメディア社会を考えさせられる、よいプレゼンでした。

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