彼は世の中の人を大きく動かす普遍的な法則を発見しました。
本来、人は「WHAT(なに)」で動くのではなく「WHY(なぜ)」に動かされるということ。
たとえば、組織に属していたとしたら、自分が「何」を仕事にしているかはわかります。
でも、「なぜ」それをしているかを知っている人は少ない。
「何をしているか?」はわかっても、「なぜしているのか?」がわからない
言い方を変えれば、「何」がわかっても能動的な行動につながらないが、「なぜ」に共鳴すると、自発的な行動にかわる。
こんな禅問答のような問いからはじまります。
アップルが他社と違う理由
彼はこれをゴールデンサークルと呼んで、このルールがいかに適応されているかを例をあげて述べていきます。
一つにアップルの商品が売れる理由。これも、商品という[WHAT]や、使いやすさや美しさといった[HOW] から商品アピールするのではなく、「なぜ、私たちがこの商品を作り続けるのか?」という「WHY」から入るからだと。
まず、信念ありき。そして、それを実現するためのHOW(「美しくて」「機能的な」)こういった商品(WHAT)があります。いかがですか?と続ける。「WHY->HOW->WHAT」の順で説明していること。こうすることで、企業のWHYに共鳴したら、何を買っても良い状態になります。
きっと、アップルが自動車を出したら買う人も多いでしょうね。
「iPhone発表時」のスティーブジョブズのプレゼンテーションは、まさにこのことを示しています。
また、人間の脳はこのゴールデンサークルに対応していて言語的に情報を理解しただけでは行動に結びつかず、WHYに共鳴してはじめて行動が起きる。つまり生理学的にも[Why -> How -> What]の順序が必要だそうです。
その理由に「(WHAT)なに?」を司る情報を機能や数値として理解する大脳新皮質は外側で、「(WHY)なぜ?」といった動機につながる言語化のむずかしい直感的感情は内側の大脳辺縁系に属しているらしく、行動に直結するのは直感(内側)>理解(外側)という順だからです。
たしかに、心を動かす「好き嫌い」といった感情も頭で理解してそう思うものではなく、直感的な判断が先にたって、後付けでその感情を理解をするプロセスになりますね。その意味では、WHYというのは、自分の動機や直感をに問いかけて「言語化」するチカラとも呼べそうです。その自問や洞察力の高さが人の心を動かすのでしょうね。
自分自身のために行動する
このあと、ライト兄弟や、キング師のエピソードに触れ、最後に人は「導く人に従うのは、導く人のためではなく、自分自身のため」と括ります。
言葉をかえれば、アップルのために商品を買っているのではなくて、自分自身のため。といえばわかりやすいですね。
そのために、「自分の商品を必要とする人に売るのではなく、自分が信じるものを信じてくれる人に売ることを目指すべきです」
同じく、人を雇用するときも「仕事を求めてくる人を雇うのではなく、自分の信念を信じてくれる人を雇うべき」
という視点。確かに、アップルもそうですし、身の回りの優秀なリーダーや商才ある人に当てはまります。
何故しているのか?で問い直す
このエピソードは論理的かどうかよりも、人の慣れ親しんだプレゼンテーションの順番(「何」から説明してまう)癖を逆順に変えて表現してみるトレーニングになると思います。
人に自分がしていることや、何かを伝えるときに、「何をしているのか?」ではなく「なぜしているのか?」を確認してみます。
たとえば、デジタルメディア教育というテーマで考えてみました。
IT、デジタルメディア教育を通じて、パソコンの技術を教えるだけでなく、パソコンやITを学ぶことにより、多くの人が「先生になれる」ことの醍醐味。教える側たつことのすばらしさや、教える仕事によって、様々な出会いや学びがあることを伝えたい。
ただ思いを外側の事実(WHAT)として伝えるのではなく、「WHY」(何故?)という内面や動機を自問し伝えること。言い換えれば、自分に対する問いかけを練り直すことの重要性をこのスピーチは教えてくれています。
スピーチに限らず、軸を自分のコトバを持っている人は、自分への「問い」がしっかりしているということも言えます。
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