[TED]スーザン・ケイン 「内向的な人が秘めている力」

日本人はなぜプレゼンが苦手なのか?

この人のスピーチはとても示唆深く、日本人的なプレゼンテーションのあり方へのヒントがある気がします。

日本人はなぜプレゼンテーションが苦手なのか?このテーマは、プレゼンテーションを通じて、私たち日本人を知る行為なのだと思います。

欧米人と日本人のTED Talkを観ていても、その差から感じることは多く、とても興味深い研究テーマです。

日本語は、主語を省略しても受け手側の高度な文脈を「察する」能力を活用して会話が成立します。これは日本人的な思考法や表現力にも影響していて、この曖昧に話をしても、受けてが汲み取ってくれるハイコンテクストなコミュニケーションは同時にプレゼンテーションの不得手さにもつながっています。

阿吽の呼吸ではないですが、「空気」を読みあえる日本人のメリットデメリットともいえます。

「内向的」と「内気さ」は違う

その偏向がどんなものか把握するには 内向的なのがどういうことか理解する必要があります これは内気とは違います 内気というのは 社会的に判断されることへの怖れです 内向的であるというのは 社会的なものも含め 刺激に対して どう反応するかということです 外向的な人は多くの刺激を強く求めますが 内向的な人はもっと静かで 目立たない環境にいる方がやる気になり 生き生きとして能力を発揮できるのです いつもそうとは限りませんが 多くの場合そうだということです だからみんなが 持てる才能を 最大限に発揮できるようにする鍵は その人に合った刺激の中に 身を置くということなのです

「内向的」なことと「シャイさ」は違う。この指摘は的確です。

「日本人的なプレゼンテーションのあり方」を考察していくうえで、「内向性」と「内気」をきちんと区別して、見かけの派手さや評価への恐れや恥にとらわれることなく、内向性や思慮深さを活かした、穏やかなプレゼンでもよし。というのう受け入れ方もありなのです。

内向性と内気(シャイさ)がイコールではない。という指摘は、内向的だから内気なのではなく、場合によっては、しっかりとした内向性を持ち得ていないから、表現や評価を恐れてしまう(内気さが増してしまう)側面もあるのかもしれません。このことについては、後半の「一人の時間を大切にする」という指摘につながります。

熟考できなかった課題をおもしろおかしく表現でカバーしてしまったり、シャイさを隠すために、欧米的な外向的プレゼンテーションを気負って目指すのではなく、表現にとらわれすぎず、「人に伝えたくなる」トピックや課題が心に浮かぶまでの時間をじっくりと孤独に味わう事のほうが重要です。

TEDxTokyo2012 河瀬直美さんのプレゼンにみる物語るチカラの大切さ

一人の時間を大切にする

彼女の言うように、「外向的」で常にグループワークをよしとする風潮から、ひとりで行う「内向的」な作業を重んじよう!というメッセージはとても面白いですね。

旅に出よ。とは本当にそうで、このスピーチを聴いて思い出したことあります。

ひとつは、内田樹さんがどこかのエッセイで書いていたのですが、日本の学校建築には、廊下に「くぼみ」がない。という指摘。つまり、授業の後に一人になって学びを腹に落とす時間や場所が学校には必要という発想はそのとおりだと思いました。

なんでも協調性や対話を偏重するのではなく、孤独になって物事を考える「ひとりになる(内向的な)時間」を意識して生み出す事。

社会人にとって、スターバックスが「第三の場所」と言われていたように、会社と家庭という共同作業からひとりになる場所が必然的に求められてきたのだと思います。社会や生活に前進的な内向性が足りていない現れなのかもしれません。

内向性を尊重する凹み。カフェはまさにそうした孤独を提供してくれる場所。

プレンゼーテションの表現力よりも着想力や構想力。声の大きさではなく、もの静かに。でも人の心に触れる響きを大切にする事。

プレゼンに限らず、ソーシャルメディア時代の表現や発信についても、示唆と勇気を与えてくれるすばらしいスピーチ。

オススメです。