TEDxTokyo2012 河瀬直美さんのプレゼンにみる物語るチカラの大切さ

プレゼンテーション力が高い人に共通しているのは、自分を別の視点から俯瞰しているかのごとくクールに観察しつつ、内面から湧き出るホットな言葉を使うことができる人。

言い方を変えれば、自分の言葉でしっかりと表現できる人は、自分自身を物語の登場人物にみたて、その登場人物のことが如く大きな筋書きもってアドリブを交えながら自らの役割を理解して表現できる人と言えます。

河瀬直美さんはまさに映画監督だけあって、自己物語化した情緒的で素晴らしいプレゼンテーションを見せてくれました。

物語の欠如した社会

今の社会には以前のように「いい会社に勤めてマイホームをもつ幸せ」や「高度成長の右肩上がりの日本という国に生まれた幸せ」といった参加しているだけで高揚感のある社会の「物語性」が欠如していて、まるで筋書きを知らされていない舞台に放り出されたような不安感に満ちた生活をしているのだと思います。

そんな時代に不安を抱えながら、スポットの向側の見えない観客にむけて自信と覇気をもって自分のコトバを発するなんてできないはずです。

物語るチカラを身につける

戦後の高度成長期の日本には素晴らしい物語があったのですが、それは、自らの物語を描く力を長い時間をかけて削いできたのかもしれません。

日本の教育にプレゼンテーションやメディア表現などの授業が足りてないのも影響しているのかもしれませんが、学校にそうした教育がなくても、ブログやツイッターなどのソーシャルメディアにはピンスポットの舞台に立って大勢の前で語るトレーニングのように、学校では決してできない学びがあります。

今一度、それぞれが自分という人生や自分を取り巻く家族や地域やコミュニティを筋書きと見立てて、楽しみながら表現発信するトレーニングをしてみる必要があるのだと思います。

自分の登場する物語を社会や会社などに預けるのはしばらく終わりにしましょう。自ら筋書く時代です。

そうすることで、すべての批判や摩擦や困難すらが、物語の想定内となり、物語を熟成させ自ら発するコトバに力を与えるはずです。

物語るチカラの効用

自分の経験や人生を自己物語化する力をもった人のプレゼンテーションはただの自己表現を超えて、その登場人物が登場するコミュニティや場にストーリーを生み出し、そこに参加する人にも高揚感を与えます。

そして、そのプレゼンテーションが多くの人の心を動かし、関わる人に自信を与え、そして自らも力強くいることができるようになります。
これこそがプレゼンテーションの魔法とも言えるでしょう。

分断した社会的なつながりを再構築しなおしている時代において、物語るチカラをもった人こそが、新たな時代のストーリーを生み出し、社会を牽引してくのだと思います。

その意味でも、自分や地域や家族の物語を俯瞰しなおして、そしてその登場人物として、自分の描く筋書きを生きていくことがこれからの時代に大切な「自己表現創造教育」であって、ソーシャルメディアが私たち教えてくれていることなのだとも思います。

自分のコトバを、人生を楽しむ主人公のコトバに変え、力強く「物語るチカラ」をもっと養っていきたいですね。