メリーゴーランド

“メリーゴーランド (新潮文庫)” (荻原 浩)

田舎にある超赤字テーマパークを建て直す奮闘記。とくれば、戦うべく相手は無計画に血税を使ってハコモノを作っては、責任をなすりつけあう役人たち。

読みすすめるたびに、これがお役人の「現実か・・」と絶句しつつも、いやいやまて。これはただの「小説だ・・」と何度も現実と物語の挾間を行き来し、描かれる役人の姿がコミカルさを通り越してあまりにもリアルで笑えない。

役所や政治の世界がどのあたりまでリアルなのかはつかみきれないけれど、和を重んじつつも、ことなかれ主義な日本人の悪い面が行政の世界にはまだまだはびこっていて、もしこれが小説だけの世界でないとしたら・・・と思うと、少しぞっとしてしまう。

でも、主人公の奮闘ぶりとそれを支える役者達の屈託のない姿に救われながらも、「現実社会とはこう折り合いをつける」みたいな、主人公の生き様を軽快なタッチで描いている分、いい意味での今の時代を生きる、有り様みたいなものを感じさせてくれる作品になっている。

小説なので、もっと派手に戦ってほしかった・・という面もあるけれど、そうしたこれ見よがしなタッチがない分、この本はむしろ好感がもてる気がした。