リアル脱出ゲーム 廃倉庫からの脱出記

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今回は手記風にレビュー。

港から吹きつける冷気がコンクリートを侵食し伝わってくる。まさに閉じ込められるにふさわしい倉庫。その時総勢80名近い若者たちが自らが退路を断つために「そこ」に集まっていた。

1月9日(土)BankART Studio NYK。多くの人がうなだれるように携帯を眺め、その「とき」を待っている。それはその時刻を眺めているのではなく、電波が通じていることへの安心感で気を紛らわそうとしているのかもしれない。

廃倉庫が緊張で埋め尽くされている。僕は二度目の脱出挑戦ということもあって、幾分冷静に自分を観察していた。

そう、前回、満点で謎を解き尽くしたにも関わらず、最後の一手で「廃校からの脱出」を阻まれた「リベンジ」を果たしにきたのだ。

この手記を書いている現在はまだこの「廃倉庫」からの脱出を試みている人もいるので、ヒントになるようなことは言えない約束なのだが、前回のことはいいだろう。

基本的には、その場所に仕掛けられたさまざまな謎を紐解き、1時間以内にその場所から脱出する。というのが「リアル脱出ゲーム

そもそも、「脱出ゲーム」という分野自体があることすらしらなかったのだが、知人が不敵な笑みを浮かべて僕に挑戦を勧めるので、何も考えず廃校へと挑み、ただ敗北したのだ。

とはいえ、何も考えずといいつつ、僕にも勝算に向かう考えはあった。

足りない知恵を補うパートナーの存在だ。これが僕にとって唯一にしてそして最大の知略といえる。

さて、ゲームの話に戻ろう。

謎やヒントは部屋のあちこちに仕掛けられている。まず、仕掛けから、本当に必要なものと、ただのノイズを見分けなければいけないのだが、そんな冷静な判断や余裕など持てるはずもない。

開始の合図とともに、会場の全員がヒステリックに動き始めてしまう。

後で理解が進むのだが、この「脱出ゲーム」には一定の暗黙知的なルールがある。

それは、1時間以内で出れる程度の難易度を司るためのゲームバランス故のルール。難解すぎても安易すぎてもいけない。そのバランス設定からノイズを見極めること。

そして、ただのクイズ大会で終わらせないために非現実と現実を結び合わせるように流れるストーリーが存在し、その文脈もヒントとなっている。

たとえば、今回ならば「廃倉庫」という舞台設定。

出題者がなぜこの場所を選んだか?もしくは、この舞台ならどんなストーリーを考え出すだろうか?どれほどまで、この舞台背景が謎と結び付けられているか? まさに出題者の意図を探る知恵比べ的行為ともいえるだろう。

ま、はじまってしまうと、軽いパニック状態となり、こんな風には考える余裕もないのも事実だ。

前回は正直非常に難易度の高い謎が最後の5分に出題されて、それを誰も解けずに終わってしまった。

つまり、どれだけ早くすべての謎が解けていても、みんな平等に最後の5分が与えられる。しかも、それはそれまで解いてきた類と違う新しいフォーマットの回答を求められる。非常によくできた虚をつくような最後の謎。

最後の最後にゲームバランスが調整された瞬間でもあった。ただ、それもゲーム。

すべての主導権はゲームマスターに握られている。

その悔しい記憶を反芻しながらも、そこに囚われてしまうと、また出題者のトラップにひっかかってしまうので、何も考えずに新たな気持で向かうのがいいのだろう。

今回もまた平等に与えられた1時間という制限時間に脱出を試みるだけだ。


さて、詳細は語れないが、結果だけ言うと幸運なことに脱出。

ゲームのバグにも遭遇し、解けていない謎を残しながらの逆転劇。

全体の脱出率も少ないなか、なにはともあれ脱出できたのだからそれでよしとしよう。

ゲームには運も大切だ。そして今回もなによりも、僕以外の面子がものすごく活躍していた。そうした偶然の出会いもなければ、絶対に抜けられなかった。

間違いない。自分の運命はこうあるのだと確信にも出会えた。

次回はゴールデンウィーク。もちろん、挑戦するつもりだ。

脱出だけが目的ではない。自分を深く知るために挑戦するのだ。

そう。このゲームはただのゲームではない。その答えは自分で探して欲しい。

リアル脱出ゲーム