嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生

人の半生分の長さを130分に凝縮して走馬灯のようにCG絡めて再現したらこうなる。的な映画。下妻物語的なビジュアルのポップさとスピード感を期待していただけあって、今作もやはりすごい。(その分、切れないんだろうなぁ・・的な長さも少し否めず。でもそれを補う密度の濃さ◎)

また、ミュージカル仕立てな部分も浮いた印象がなく、役者ではないミュージシャンの個性も引き立つキャスティングと演出もさすが。

映画というものづくりの現場の集中力と緊張感、密度の濃さ。ストーリーよりも、まず映画そのものの迫力に感嘆してしまう作品だったかもしれない。

ストーリー的には、実はCMでネガティブな印象をもちすぎてちょっと敬遠していたんだけど、原作とは違いポップでポジティブな風味が加えられていて、痛いだけのストーリーで終わっていないところがよかったです。

この作品を通じて印象に残ったのは、人の「美化力」の素敵さ。思い出を美化することで人はエネルギーを自己循環させて力にすることができるということ。

ただ、現実と対峙した瞬間にメルトダウンしてしまう危険さもあって、その力を行使すべきか放棄すべきか、人は葛藤して生きているのだと思う。

まさに、主人公の松子自信、美化力に救いを求めながらも、なんども現実に裏切られ息絶え絶え生きている。その姿は目も当てられないほど苦悩に満ちているけど、なんどもそこから這い上がろうする姿は誰の中にも投影できるはずだし、勇気付けられる一面なんじゃないかな。

僕らは松子ほど壮絶な人生を歩んでいないけれど、だからこそ、現実も直視せず生きてしまっているのかもしれない。それが悪いわけではなくて、逆に人って現実がそこそこだと、希望もそこそこになってしまい、生きるエネルギーも沸いてこないものなのだと思う。

たかが映画だけれど、この映画を観てもし自分が松子ならと思うと、もっと命燃やして生きてもいいんじゃないかと思えて不思議と力が沸いてくる。ストーリーや映画そのものから、エネルギーをたくさんもらえる作品です。

美化力(希望)と現実との戦いを描いた壮絶なチャンバラ映画。オススメ。