自分のことを考えている人の表情

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この作品( )は無言で座っている人が13分の間、淡淡と映像で映し出されている作品です。

これもまた音声ガイドをもたずに入っていると、拷問のように無言のままこの人と対峙することになるのですが、ガイドによると、この人は終始作者からインタビューを受け続けていて、その答えを言葉ではなく、頭の中で答えるという作業を繰り返しているらしいです。

そういわれてみたら、この人は何かの役を演じているのではなく、一番ありのままの無防備な状態をさらしているようにも見えてきます。

喧嘩をするときに「おまえどこの学校のどいつだ!」とか喧嘩相手に啖呵を切る常套句がありますが、まさに、人ってふいにそういわれた瞬間、反射的に素になって無防備になるんですよね。

ゲド戦記や陰陽師のように、「名を名乗れ!」と言われて、素になって答えると相手の術中にハマリ動けなくされてしまう魔法のようなもので、それまで作っていたバリアや結界を突破されてしまうのでしょう。

攻撃は最大の防御で、相手のことを質問しているうちはいいのですが、逆に「貴方はどうなの?」って質問返しをされてしまうと、金縛りにあって口がぱくぱくして言葉につまるような、まさにそんな感じです。

「自分探しもほどほどにしないと、心の隙間に入り込んでくるものもあるので注意。」

なんてメッセージはどこにもありませんが、そんなことぼんやり考えてました。

この作品の後に、赤レンガ倉庫で「廊下」という作品を鑑賞したのですが、まさに人の内省にうまく干渉し巧妙にもてあそんでくれるような、面白い作品でした。(つづく)