オルセー美術館展2010

オルセー美術館展のiPhone/iPadアプリを作らせていただいたのですが、すでに17万ダウンロード超え。嬉しい!!

これほどのポスト印象派が日本に一堂に揃う美術展も、もうないだろう言われている貴重な機会なので、それだけ注目されているんでしょうね。

実は関わっていながら行く機会が取れなくて、昨日やっと観に行くことができました。

ひいき目なしに、本当に素晴らしい美術展で、2時間ほどはゆっくり鑑賞したのですが、いくつか離れがたい作品があって、何度も何度も立ち尽くすんで眺めていました。

絵画の前に立つと、芸術家が絵筆をもって同じ位置から眺めていた景色や心象風景が額をはみ出んばかりに広がる感じがして100年前にタイムスリップした感覚を楽しめます。

その中でも大きく心動かされたのは、本物でしか感じることのできないスケールの大きさや、油絵具の立体感やツヤ。近くでみたり遠くでみたりしながら鑑賞できる醍醐味はやはり美術展ならでは。

実際に思っていたものより大きな作品はやはり、想像を超えた迫力がありました。

1章のベナールなどの肖像画

8章のモロー

9章のルソー

10章のヴュイヤール

このあたりは、オルセー美術館でしか観ることのできない存在感あふれるスケールの大きな作品。

その迫力と美しさに圧倒されます。

個人的に一番好きだった章は5章。ゴッホとゴーギャン

ちなみにゴッホと同じ誕生日というのも手伝ってか一番好きな画家です。

特に「星降る夜」は、ゴッホがゴーギャンと新しい共同生活を夢見て破綻する前。希望に満ちていたころの純粋なまなざしと幸福感の裏に(深読みかもしれませんが)不安が少し見え隠れしてしまうようで切ない気がしてしまってなんだか泣けます。解説を読むとそうした不安は一切描かれていないとあったのですが。先入観かな。

ポストカードに選んだお気に入り3点

最後に、出口のミュージアムショップで印象に残ったポストカードを三つだけ選びました。

最初に選んだのは、「星降る夜」の隣に飾ってあったゴッホの「オウカンユリ」(写真真中)

「星降る夜」は人だかりだったのですが、その横でひっそりと咲く花。これが「ひまわり」だったら、近寄ることすら出来なかったかもしれません。

でも、この作品の前にゆっくり身をおいて鑑賞するほどに、「ひまわり」ほど鮮やかな色彩ではないこの花の存在感に何か惹きこまれるものを感じて、とても好きになりました。

もし、誰かにどれか一点の絵をプレゼントするなら、この絵にしたいなと思うほど。

特に左端にうなだれるように咲く淡い透明感ある色彩の花びらが、うまく言えないけど、素敵だった。

写真左下は7章の「フィリックス・ヴァロットン(ボールで遊ぶ子供のいる公園)」

なんだか日本のアニメに出てきそうなタッチの少女と、遠近感が違う遠くの木立に立つ女性。

時間が止まっているようにみえて、そこに流れる風や木のざわめき、少女の走るその「音」だけが聞こえてきそうな不思議な感覚。

辻褄を超えたところにある絵画の魅力や面白さ。でもどこか日本的な視点。うまく言えないので、思わず手にとって買ってみた作品。

最後の右はじは「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」(休息)

物憂げな女性の後ろ姿。部屋全体がグレーの空気に覆われていて、温かみを感じない。よく眺めるとぎりぎり怖い。

でも、なぜだろう。こんな風に静かな時間を現実世界では全く感じたことはないのに、記憶のどこかを探せばたどり着けそうな世界。

こんな写真を撮ってみたいと思ったのも、この作品を選んだ理由。

それにしても、絵画って言葉にだすほど、気恥ずかしいですね。でも、絵画の前に立って、その言葉を引き出そうと悶々とする時間がなんとも言えない楽しさで、どれだけ鑑賞していても飽きることはない。そんな気がします。

きっと、もう一度会期中に行くと思うけど、平日でも行列ができるほどの盛況さなので、夜間延長している金曜日と土曜日の閉館2時間ほど前を狙っていくつもりです。

日本でこれほどの数の作品が見られる機会もめったにないそうなので、ぜひ足を運んでみてください。

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