8年目にして妻の自立心から破局を迎えた結婚生活。残された夫は幼い息子の面倒を見るのだが……。離婚と養育権という、現代アメリカが避けて通れない社会問題をハートウォームな人情劇を通して描いた80年の代表作品。ホフマン、ストリープ(助演女優賞)の他、アカデミー作品・監督・脚色賞を受賞。
引用元: クレイマー、クレイマー – Yahoo!映画.
若かりし頃のダスティン・ホフマンとメリル・ストリープ。時代に色あせない名作名演だと思う。
自己実現や社会的自立と家庭の両立。時代は違っても、その狭間で揺れる家族のあり方は、大きく違わない。
仕事人間だった父親役ダスティン・ホフマンが、母親が出て行ったあとすぐ、ブレることなく、子ども為に一番必要なことを優先して、愛情深く父親になろうと努力したこと。
突然の出来事に苦悩しつつも母親の抱えていた葛藤を悟り、困難に前向きに受け入れて行く父親像に個人的には心動かされた。裁判に勝つためにあえてとらなかった彼の行動も、その軸のブレなさと深い愛情で子どものことを中心に思うが故。
他方、よき母になろうと自己犠牲を尽くしてきた母親役のメリル・ストリープが自己実現のために家を飛び出し、子どもと離れることで、複雑な胸の内と改めてその失ったものの大きさに気づいて裁判を起こすこと。
母でありながら、ひとりの人としての自分の弱さと向き合い続けた時間を思うと、彼女の苦渋の決断も胸が痛い。
どちらが正しいではなく、描き方としては1980年時代の男性主権な労働環境と離婚と親権を法廷で争う訴訟大国アメリカの時代背景を投影してか、若干父親側偏重な作品ではあるけど、なによりも、そうしたシンプルなストーリーにこの名優の素晴らしい演技と、アドリブで構成された親子のシーン。そして、この子役の自然な演技の三味が絶妙に組合わさった、熟達な演出に評価があると思う。
法廷で争うシーン。お互いの子どもに対する深い愛情を言葉で訴えつつも、二人の絶妙な目線の動きや泳がし方で、その愛情より深い部分にある自信や心のブレを表現している。
最後はとても素晴らしい10分間が過ぎる。少し切ないけど、ハートウォームな後味です。
実生活でもダスティン・ホフマンが離婚調停中であったり、メリル・ストリープの婚約者が亡くなっていた。というエピソードを後で知ったのだけど、役者というのは、改めて本当にすごい存在だと思う。
名作に恥じない映画。オススメです。
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