九十九里にて

雨の日はいいあきらめ方ができる日。

雨模様の海は透明な鏡のよう。
励ましも受け入れもせず、また、怒りも拒絶もしない。
どんな表情をしていたって、何も映し出さずにいてくれる。
元気でいることに、疲れてしまったときは、
ここに来るといい。
灰褐色の砂浜に無彩色の空がすべてを包み込んでくれる。
そしてひとしきり、人が恋しくなったら、元気な顔をして家に帰ればいいのだから。

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