2009年の観納めDVDに選んだのがこれ。原題が「the Visitor」
観る前はこの邦題に違和感があったものの、観終えてみると、開かれないままの社会と心を暗喩しているという意味で、この邦題はよく考えられいる。
経済が発展するほどに隣人との距離が遠ざかっていく。途上国の支援を建前に、隣人を受けいることを拒み、自国の繁栄のために経済成長してきた先進国の孤立した実像と、地下鉄のホームで孤独にジェンベを叩く主人公の扉絵がとても象徴的であり自傷的で切ない。
経済成長を喜び、夢を描き発展してきたこの数十年に、いったい何をトレードオフしてきたのか考えさせられる作品。この映画が本国でも高評価だったのが救える。
日本もいまでこそ、成長への行き詰まり感が漂っているが、むしろ頭を冷やして自国や自分を見つめるよい機会なのかもしれない。