マービン・ミンスキー、ノーム・チョムスキー、ジャレド・ダイヤモンド。
現代の天才たちが、どのように「自分の思考や言葉で語るか?」
その様に触れられるだけでも、多くの学びが得られる一冊。
それでいて、とても読みやすく、軽快だ。
政治や宗教、恋愛、生命、情報、教育。誰もが知りたくて答えの見つけずらい問いに一点も曇ることなく喝破する。いや、ときに「わからない」と正直に答える。
しかし、そのどれもが誰かの考えや思想ではなく、自ら構築したフレームワークから力強く柔軟に繰り出される。一つの分野や思考を追求してきた人のもつ直感。その深さとスピードから思考のしなやかさは、生まれてくる。
登場するほぼ全員が宗教的思想にとらわれていないのも、とても興味深い。
これだけ情報があふれていると、自分の言葉で語ることが難しくなってきている。
そんな時代に、自ら「問い」をもうけて、自分なりの言葉をつくる力が求められてくるのだと思う。
天才の紡ぐ言葉(コンテンツ)が正解なのではなく、彼らの言葉遣いや文脈(コンテクスト)から、もれ出てくる人間性や観察力を知ることが大切。そんな素晴らしい対談本でした。
教育の役割
読んでいて思ったことをメモっておきます。
教育の役割は大きな図書館のように、問いや対話の中から適切に結びつけるたくさんのヒントを提供する引き出しがあって、それを結びつけられる人が師であり先生なのだと思います。
そして、情報だけでなく、できるかぎり本物に触れる機会を用意し、良質な問いを見つける機会や好奇心をどれだけ与えられるか?が大切。
早いうちに大人になるということは、誰かの価値観ではなく、自分の考えや思考から未来を選択しはじめる機会に出会うということ。
そして、それを宣言、表現し覚悟を決めて向かうことで、失うことはなにもないことを知る。このことを知ることが「学び」であり、学び舎からの卒業、そして大人(自立)のはじまりなんだと思います。
疑問に対して、たくさんの情報と向き合い、自分なりの答えを探すこと。
自分のコトバや思考を育てることが哲学。その機会や時間を増やすことが、今の時代に求められているんでしょうね。
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