この映画。わかりやすくいえば、「タイプの違う四人の自信家」の物語。
□「天才型自信家」マーク・ザッカーバーグ
主人公の彼から学べることは、アイデアは考えているだけでなく、行動し実践すること。そのリスクを考えずに自分本位である姿勢。
自信がないのが日本人の特徴ですが、訴訟を恐れない覚悟。CODE or DIEな姿勢。そうした人物を見守る社会環境も学ぶところあります。
□「秀才型自信家」エドゥアルド・サベリン
ザッカーバーグの片腕としてビジネスを仕切り、経済的な面でfacebook立ち上げを支援する。本人も非常に明晰な頭脳の持ち主で家柄もよくかなりの秀才。彼がいなければfacebookも生まれなかったかも知れない。でも、ビジネスが成長していく上で、創業時のパートナーが障壁になることが多くまさにそのテンプレ役。
事業を大切にするあまり、慎重になってしまう。どちらかというと日本人的。
□「根拠のない自信家」ショーン・パーカー
突然やってきた、インチキっぽいはったり事業家(風に描かれている。当然実在する有名人だけに、気を使ってか役者はイケメン。ジャスティン・ティンバーレイク)
ビジネスをもっと大きなものにしろと、鼓舞する彼にザッカーバーグは陶酔し、サベリンは警戒。まさに、こうした出会いにより、運命が分かれる。ビジネスを爆発させるときに必要な火付け役。いるいる。こういう人。学べます。
□「紳士型自信家」ウィンクルボス兄弟
ミスターハーバード。家柄も究極によく、頭もよくオリンピックにでるほどの運動能力と体格。まったくもって、非の打ち所のない兄弟。紳士故に葛藤するが、最後は訴訟に持ち込む。兄弟が一つの人格のように、内面に葛藤する。これもまた面白い。
おすすめの映画です。
この映画を観ていて思ったことは、実在する人物を映画化するハリウッドのすごさ。しかも、本人や登場人物の協力のないまま映画化するあたりすごい。ドキュメンタリーではない分、映画としての作品性を高めたその映画力がすばらしい。
もう一つは、facebookというサービスが生まれるアメリカという社会やネット社会の背景。その対比としての日本の業界や社会の違い。
この映画はフィクションの部分も当然多いと思うけど、それぞれの登場人物やその時代背景からも、ネット業界の今を切り取って見直すこともできるし、そこから学ぶことも多いと思います。
それは、こんな風に日本のIT業界もなるべきだという視点ではなく、こうしたストーリーから本来のネット業界やネット社会が向かう方向を見据えるという意味でもあるし、それぞれの登場人物の視点を振り返りながら、誰特の映画だったのか?何をもって成功かという定義考えるきっかけにもなるのだということ。
当然、この映画を5年後10年後見直したときに、ずいぶん懐かしい映画に思えるほど、時代のスピードや価値観は変化していくのだとすれば、どんな視点でこの映画や今の業界を見直すのだろうか?そんな風に考えてみるのも面白いと思います。
ザッカーバーグが純粋に好奇心の赴くままに CODE(プログラム)を書き続け、見える景色や周りの人物が変わろうとCODEに向かい続けることによって、ブレずに貫き通した信念がこの映画では一番純粋な芯として描かれていて、その点も共鳴するところ。
考えるより行動する。そしてそれを貫く。観ている人にその姿勢が勇気を与えた映画なんじゃないかなと思います。
「なんかしらないけど。俺もがんばるぞ」みたいな気持ちにさせられる映画でした。