ビフォア・サンセットがナチュラルなら、アニーホールはリアル。その違いが同じ恋愛映画でもよく現れていて、なんだか面白い。
湧き出てくる感情を必死に理性で抑えつけて向きあうもどかしさや愛おしさが、言葉にならないほどスクリーンから伝わってくる映画が「ビフォア・サンセット」だとしたら、
「アニーホール」は男性側の視点で描かれているので、すごくリアルで理性的。理性で感情を押えすぎて自分の本心が見えなくなってしまう。このあたり本当に、ある意味リアルな恋愛映画。
男の恋愛観を直視しなくてはならないので、なんだか身につまされるようで痛さすら感じてしまう。
ウディ・アレンのシニカルな視点と畳み掛けるような言葉遣い。男はこれよくやってしまうんだよなぁ。
でも、これって自分が傷つかないように、頭で感情を整理しようとする癖。オープニングのウディ・アレンの前口上がまさにそうで、「僕は大丈夫。そんなに落ち込むタイプじゃないから」みたいな、言葉で心から目をそらしてしまう。
落ち込んだり、悲しんだりしたら男はカッコつかないんだ。って、小さなプライドが常に邪魔をして、いつのまにか自分の本心が見えなくなってしまう。
道行くカップルに「幸せの定義」ってなんだ?との質問に「俺たち難しいことわかんないから」みたいな返答するシーンがあるけど、これこそがこの映画の答え。
考えすぎて、頭ががんじがらめになりそうなときは、あえてこの映画を反面教師にして、何も考えずに「今」を愛せる関係を目指すのもよいかも。
これって恋愛映画というよりは、教育映画かな(笑)
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