AR技術関連の話をすると、まさにウェブやホームページを企業が導入しはじめたら黎明期を思い出します。
プレゼンにまわっても、「まったく知らない」という人と「(技術的に)とっくに知っている」という人の二極化にわれるのが黎明期的で、一般の人に活用されはじめると一気に認知度が高まり、技術的な目新しさ先行の時代から一気に関心が薄れるハイプ曲線を描いていく流れは、どれも同じ流れです。
黎明期的な共通点
「とっくに知っている」人は、難しい言葉を使いすぎてしまい相手を萎縮させてしまいすぎるし、「全く知らない」人は前例が出るまで動けない。という悪循環もどれも似ています。
まだパソコンが各部署に一つくらいしかない時代、「御社がホームページつくれば業界で初めてじゃないですか?」とか、「名刺にメールアドレスを入れる時代が来ますよ」とプレゼンしても、前例がないとなかなか重い腰があがらない日本人的な体質に業を煮やした時代もありました。
ブロードバンド時代到来の映像配信もそうですし、ブログブームやセカンドライフなどどれも同じですね。
やがて、時代が流れはじめると我先に話題に追いつくまいと飛びつく様も含めて、この業界は「そういうもの」と思えば、むしろ一気に話題になることも、すぐに陳腐化することもIT技術関連の宿命で別に悲観する話でもないと思います。
ハイプ曲線の流れにしたがう
ハイプ曲線の救えるところは、一旦話題性が途絶えたあと、長い時間をかけて綿々とその技術やコンテンツが醸成されていくところにあるのだと思います。
ブログをブームにしようと、某社の会議でブログコンテストを企画されたときに、ひとり反対して浮いたことがありますが、そのときは、一気に話題性をあおるのは危険だと杞憂したのですが、今思えばそのコンテストに反対したところで、どこでも同じことをしてしまうので、結局は同じことでした。むしろ、そんなことにムキにならずに、ハイプを受け入れた上で流れを読んだほうが、得策だと悟った気がします。
セカンドライフの時はまさに、一番わかりやすい急上昇と急降下を体験しましたが、加熱するブームも一気に冷める感覚もわかっていたので、むしろこのことをより体感的に証明してくれたと思います。
AR技術がこのラインをトレースして、本来の流れを取り戻したとき、仮想世界のクリエイターや技術者が行ってきたことの再評価もはじまるのだと思います。
まずは体験してみよう
むしろ、どの時代も「知っている」「知らない」が重要ではなく、好奇心が赴くのなら積極的に「やってみる」「体験してみる」ことが一番重要。
これだけ情報が急速に流通してしまう時代、「体験」がもっとも尊い情報になるのだと思います。
その意味では「知らない」はとてもチャンスで、「知っている」ということが逆に危険であったりもするのかな。
仮想世界もARもブロードバンドの映像配信もどれも、クリエイターの心をくすぐる要素技術。むしろ、平面のウェブの世界からよりリッチにより、リアルに情報世界が展開する時代。ここからが、次のワクワクするフェーズに繋がるので、その谷間のような時代を波待ちしている感覚。
むしろ、やっと波が来そうな気がしていて、少しパドリングする手に力がはいりはじめたような感覚ですね。