1963年、16歳のフランク・アバグネイルJr. は、両親の離婚を機に家出。航空会社からパイロット情報を入手し、まんまとなりすましたうえに偽装小切手も使いこなす詐欺師になる。16歳から21歳までの間に400 万ドルを稼いだ十代の詐欺師の実話をスティーブン・スピルバーグが映画化。
主役の詐欺師にレオナルド・ディカプリオ、彼を追跡するFBI捜査官にトム・ハンクスが扮して、フットワーク軽い小気味いい芝居でテンポよく見せていく。パイロット、医者、弁護士と変身していくディカプリオのコスプレショーも楽しいし、詐欺のテクニックも魅せるが、生きていくために詐欺師にならざるをえなかった主人公の皮肉な運命、未熟な心、孤独を垣間見せるドラマも興味深い。60年代の風景、衣装など美術も見応えたっぷり。共演はクリストファー・ウォーケン、ナタリー・バイ。(斎藤 香)
ディカプリオ主演の実在する自伝を元に制作された詐欺師の半生を描いた映画。
一言でいうと
「17歳の天才的な小切手詐欺師とそれを追いかける熟年FBIの追いかけっこ」
ログライン風に言えば
「欠落した家族を求めて追いかけ合う、17歳の天才詐欺師と熟年FBI捜査官の孤独と友情の物語」かな
この映画に好感をもてたのは、「両親を助けたい」という少年のシンプルな動機や優しさと、FBIを翻弄する大人顔負けの詐欺師としての相反する二つの顔をディカプリオが見事に演じていたところ。
敏腕のFBI捜査官(トムハンクス)が主人公の少年に翻弄されながらも、子供的な純粋さからくる行動原理を鋭く観察し行く先を見抜いていきます。
子どもの犯行ということを理解しつつも、一人の人間として対峙し、同時に理解しようとしていくプロセスを通じて、敵対しつつも自らも家族を犠牲にしている大人的世界の矛盾や欠落を相手に重ねあわせていく。
家族という同じ欠落を持ち合わせた二人だからこそ、あのエンディングにつながったのかと思うと、映画的にも良くできたとても素晴らしいプロットでした。
友情をお互いの理解や思いやりと思えば、これは、大人と子ども、警察と犯人の物語ではなく、世代や社会的な属性を超えた人間同士の友情の物語。
この二人のような友情関係が、この社会にはもっと必要なのではないかな。
とても良作。また観たい映画。オススメです。