21世紀に残された数学上の6つ難問、ミレニアム懸賞問題 – Wikipedia
そのひとつ「リーマン予想」に挑む戦いと、天才数学者によって最近証明された「ポアンカレ予想」についてのドキュメンタリー。
数学に命をかける天才たちのドラマ
リーマン予想もポアンカレ予想も、僕のような凡人から見ると、ただの数学の問題なのですが、彼らからすると人生をかけた挑戦なんだと思います。
2作を続けて観たのでメモ残します。
リーマン予想・天才たちの闘い
NHKスペシャル|魔性の難問~リーマン予想・天才たちの闘い~.
「リーマン予想」は「ゼータ関数の零点の分布に関する予想」といっても何の意味もわかりませんが、そこはNHKスペシャル。CGを駆使してわかりやすく解説しています。
いまだ未解決のこの予想ですが、番組の終盤には、ゼータ関数の零点の間隔の数式と、全く無関係の原子核のエネルギーの間隔を示す物理学の方程式が一致したことから、ブレイクスルーが起きました。それ以降、数学者と物理学者達が、タッグを組んでこのリーマン予想の解決に向けて動き出します。
そして、「非可換幾何学」をつかうことによって一見ランダムに見える「数」〜「素数」の謎が解けるかもしれない。という道筋が立ち、その解によって、万物の理論、宇宙の設計図を手に入れる可能性に一歩近づいた。というところで終わります。
エンディングに、リーマン予想を証明したという論文をルイ・ド・ブランジュ博士が発表するシーンがありますが、2009年に公開されたこの番組も、2014年の現在、この論文が証明されたというニュースがないので、まだ未解決のままなのでしょう。
現在進行形の天才数学者達の、あくなき闘い。見応えあるドキュメンタリーでした。
天才数学者 失踪の謎
NHKスペシャル|100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~.
続いての番組は、「ポアンカレ予想 」 こちらも、言葉で説明されても本当にわかりずらいですが、同じくCGで説明されてみてください。実は、テレビのドキュメンタリー力は科学そのものの叡智を高めるのではないか?と思います。
それくらい、情報を可視化することは、理解を高めるだけでなく、多様な視点から問題を解く鍵を生み出すと思います。
このドラマをみた少年が、なにかしらのインスパイアを受け、将来、数学者や物理学者になって、証明してみせる日もくるかもしれません。
さておき、ポアンカレ予想は、ざっくり言うと宇宙の形を証明する数学。最新の数学〜トポロジー(位相幾何学 – Wikipedia)を使って数学者たちが証明を試みる。というストーリー。
こちらはロシアの天才数学者ペレリマン博士がこの謎を解き明かしますが、その直後に失踪。という。天才数学者の孤独がサブストーリーになってます。
世紀の難題を証明したあと、すべての賞賛も懸賞金も受け取らず、人から距離をおいて生活をするようになった、ペレリマン博士。それくらい、孤高にも人生を懸け、証明と何かを引き換えにしてしまったのか。難題に挑む多くの数学者達にとって、「数学」と「人生」は等分なのでしょう。想像を絶する作業なのだと思います。
両方のドキュメンタリーに通じるところは、ポアンカレ予想も最後はトポロジーという数学で解き明かすのではなく、微分幾何学とエネルギーやエントロピーなど物理学の知識を導入して証明してみせたこと。リーマン予想が数学者と物理学者の偶然の出会いから、活路を見出したのですが、ポアンカレ予想においては、この天才的な物理学の素養をもったひとりの数学者によって証明されたところがとても画期的でした。
発表の際も、その場に居合わせたトポロジーの数学者は、彼の解法をほとんど理解できなかったというエピソードも興味深いです。
僕のような素人には皆目検討つきませんが、数学が物理学と出会って、答えを導くというストーリーはむしろ素人目にしてみたら、垂直にモノを考えすぎずに、水平に組み合わせることで謎が解ける方法論に一応の納得が在る気がします。
専門を深く掘り下げるからこそ、水平に移動したときに価値が見出せるんでしょうね。
魔性に見せられた天才数学者達の100年の闘い。数学にまさに「命」をかけた人たちの闘いは壮絶なものがありました。
一つの真理を探求することは、並大抵のことではないです。
でも、わたしたち人類の叡智の片鱗をこうした番組でかいま見るだけでも、なにか勇気がわいてきます。
自分の生涯を懸けて追求したいテーマに出会うことは壮絶で壮大ですが、素晴らしいことでしょうね。[amazonjs asin=”4102185917″ locale=”JP” title=”ポアンカレ予想 (新潮文庫)”][amazonjs asin=”482228204X” locale=”JP” title=”素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~”]