東野圭吾「プラチナデータ」

2013年に映画化も決まっている、東野圭吾の「プラチナデータ」読了。最近週末の長距離移動が増えたので、ここぞ!とばかり読みたい本をあさってます。

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国民の遺伝子情報から犯人を特定するDNA操作システム。警察庁特殊解析研究所・神楽龍平が操るこのシステムは、現場の 刑事を驚愕させるほどの正確さを持って次々と犯人を特定していく。検挙率が飛躍的に上がる中、新たな殺人事件が発生。殺さ れたのは、そのシステム開発者である天才数学者・蓼科早樹とその兄・耕作で、神楽の友人でもあった。彼らは、なぜ殺されたの か?現場に残された毛髪を解析した神楽は、特定された犯人データに打ちのめされることになる。犯人の名は、『神楽龍平』――。 追う者から追われる者へ。事件の鍵を握るのは『プラチナデータ』という謎の言葉。そこに隠された陰謀とは。果たして神楽は警察 の包囲網をかわし、真相に辿り着けるのか。
引用元: Amazon.co.jp: プラチナデータ: 東野 圭吾: 本.

新幹線乗る前に駅ナカの本屋で直感的にさくっと選ぶのは、やっぱり読み飽きなそうな安心感あってか、東野圭吾作品を手に取ってしまうことが多いです。

この小説。一言で言えば

「社会を管理する警察ですら、大きな管理下に置かれているという自己矛盾にあがく、人間と管理社会(システム)との終わりなき戦いを描いた作品」

どの作品にも通じるスピード感や集中力には期待を裏切らないものがあって、本作も飽きさせることなく一気に読み進めることができて爽快でした。

DNAによって、犯罪者がかなり詳細に特定できてしまう、ちょっと未来の日本の物語。フィクションだとしても、すでにプライバシーが希薄なこの社会ではノンフィクションに思えてしまうテーマ。ネット社会がもたらしている利便性に隠された、個人情報のトレードオフと僕らはすでに向き合って生きていることも自覚させられる。

そんな現実の向かう先。皮肉を込めて描いた彼の結末は、決して能天気に笑って受け入れられるものではないけれど、今の時代に限らず、常に権威や管理社会と対峙し「本当の?」自由を求めて戦ってきた歴史を振り返りながら、じんわりとその意味を考えてみたりしています。

ネット社会は本当に人の豊かさや心の自由や解放に寄与しているのだろうか?むしろその逆なのではないか?

だとしたら、選ぶべくは管理する側の道なのか、抜け道なのか?もしくは、道を一切拒絶すべきか、幸せに寄与することを信じて歩くのか?

この物語に自分がいるとしたら、どんな風に道を選び行動するだろうか? この本のテーマである未来のDNA管理社会を現在のネット社会に置き換えてそんなこと考えながら、マクドナルドのネット回線を使って、位置情報をだだ漏れさせながら考えてみてます。

さて、来週の移動時間は何を読もう。

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