プレステージ

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サスペンスが観たくて、この映画をチョイス。

謎解きを楽しもうなんて気持ちは序盤から裏切られ、謎解きではなくて、人をそして自分を偽ることへの純粋さとその底のない世界をどこまで凝視できるか?
そして、その結末にはなにが待っているのか?純粋さゆえに幾度も過ちを繰り返してしまう人の愚かさに自分を重ねながら、複雑に絡まる糸を解きほどくように最後まで観入ってしまえる。素晴らしくよくできた人間サスペンス。

「タネは内緒だ。みんな知りたがるけどー
教えたとたん みんな去る
みんな去る
タネで人は喜ばない
それを使う手品こそが
すべてだ」

この映画そのもを象徴したセリフになっている。
人間サスペンスなら人の本性というタネをみんな知りたがるけど、実はそこがオチではなくて、その描き方という映画のマジックに人は魅了される。

違う見方をするなら、映画のマジックらしさは、画面に映る主人公がいつまにか気づかぬうちに自分と入れ替わり、その世界にあたかも自分が生きて葛藤しているような幻を見てしまうこと。映画そのものがマジックであって、マジックというプロットを使った映画。その縦横の糸がうまく織り込まれている。

この映画が表現している人の本性や愛憎というタネは誰の心にも潜むものなので、わかってしまえば怖いくらいシンプル。ただ、それをわかってしまっていても、人や自分を欺き続けられるか?その覚悟と方法を求められる。
そしてそれを自分と重ねようとした瞬間に、そこらへんのホラーなんかよりももっと怖いものを見つけてしまう。その描き方も映画や小説でしか味わえない、リアリティがあった。

映画というマジックショーの楽しみ方を試される映画。

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