チーム・バチスタの栄光

“チーム・バチスタの栄光” (海堂 尊)

一昨年話題になった医療サスペンス。上下巻間違えて読み始めてしまい出鼻くじかれてましたが、今回の安静の日々これ幸いと一気読みしました。

まず、新人とは思えない力量。現役の医師だというから、2度びっくり。ホントに面白くてあっという間に読めます。

もともと、医療系ドラマ(ERとか緊急病棟系)は描写が苦手なんですが、これはなんとかDVDでも観たいと思わせるものでした!!

映画では阿部寛演じる、厚生労働省大臣官房秘書課付技官・医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長。通称「ロジカル・モンスター」白鳥圭輔が小説では中盤から登場するのですが、そこから一気にスピード感アップ。人を食ったようなキャラは、空中ブランコの伊良部先生にも似ているところがあって、人をイラッとさせながらも、その人の本性をどんどんあぶりだしていく様子がたまらない。

いつか、伊良部先生と対決、いや会わせたい。そんな個性際だったキャラ。

医療問題の闇

医療従事者の慢性的な不足や構造的なストレスを含めても、かなり危機的な状況にある現代の医療問題に対する皮肉も随所にちりばめられていて、その謎解きが誰か一人の犯人の問題ではなくて、医療関係者の誰にでも潜むだろう闇の部分と知り得たとき、この本の一番恐ろしい部分が顔を出します。

サスペンスって、身近なところに潜む、恐怖や不安といった「見えない犯人」を遠ざけようとしながら、追いかけても、逃げても、背後につきまとう怖さと緊張感が醍醐味。

その意味では、刑事ものよりも、「病院」というモチーフが身近なだけに、もし自分が「医者」だったら、「患者」だったらと考えた瞬間に違う意味でゾクッとするものがあります。

後半に近づくたびに、犯人像の輪郭がぼんやりとあぶりでてくるのですが、そこにあるものは、誰にでもある闇かもしれないと推論してしまうと、結論に近づきたく思いながら、そこから目を背けておきたい気持ちにもかられます。

著者が現役の医者だというのも、その恐怖感に一役かっているのですが・・・、とはいえ、

そんな怖さもこの素っ頓狂な白鳥先生が全部頼もしく吹っ飛ばしてくれるのでご安心を。

オススメ。

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