一人の人のために、メディアを学び活用すること。

もう、10年くらい前になるかな。番組の取材でお伺いした名古屋の吉兼さん。
奥さんが倒れたときに、病室の奥さんに何かできないか?と慌てて彼が思いついたのが、日々の日常風景をビデオに撮って、パソコンで編集して奥さんの病室に届けること。
近所の電信柱にあった「パソコン教室」の貼り紙を見つけて、飛び込んで、一生懸命勉強したそうです。

たった一人の人のために、パソコンを覚え、映像編集を覚え、退院後もリハビリをかねて二人で生活の中にあるものを使った「ビデオだより」を続けてました。

今年奥さんが永眠されてからも、作り続けてます。

僕もITやデジタルメディア教育を生業にしてますが、この仕事を続けている僕のひとつの源泉はこの方との出会いです。

ネットの本質も、利己ではなく利他。誰かを喜ばせたいという思いや、だれかに受けた恩恵を返そうとすることで、発展してきたものです。

その思いが技術や創造性を高めてくれます。そして生きる喜びや源泉にもなるのだと思います。

インターネットという文化に触れたとき、混線した電話から漏れ聞こえてくる、誰かの会話のように、そんな誰かに対する思いや愛情を時折感じることができるこの世界が好きなんだと思います。

そして、自分も誰かのためにできる小さなことを試すことで、世界(ネットワーク)とつながっている実感を味わうことができます。

アクセス数とかでははかれない、そのダイナミズムに元気やチカラをもらっているのだと思います。

メディアを前にすると、多くの人に知ってもらいたい。承認されたいという欲は捨てきれませんが、時折こうした出会いや源泉を思い出して、人の幸せに寄与できる、このメディアやコンピューターの可能性をもっと探求して広めて行きたいと思い返します。

取材したときにお会いした時以来ですが、ご自宅で二人微笑ましくビデオづくりしている光景を今でもはっきり思い出せます。

これからもまだまだ元気に、ビデオだより続けて欲しいです。

おじさんとおばさんのビデオだより